PLLを理解したい(10MHz標準発振器の場合)その3

PLLを理解するために、試作した10MHz標準発振器に限局いたします。

(PLL全貌は、テーマが大き過ぎますし、理解できていないからです。)

以上の観点から、下記の項目は除外いたします。

     1.チャージポンプ

2.ラグリードフィルタ

チャージポンプ

「位相/周波数比較器の出力は様々な方法で直流(DC)に変換される。1つには、差動増幅器と

ローパスフィルタを用いて二つの出力の差を感知する方法がある。あるいは3状態" チャージポンプ"を

用いる方法である。」

(*.Razavi 「RFマイクロエレクトロニクス」黒田訳監 p.285。 以下 Razaviと略す)

ですので、位相比較器とVCOの間に存在するものです。

これを使う利点も、書いてありました。

「これまでに述べてきたローパスフィルタでは、位相比較器出力の平均値を位相比較時に容量素子に電荷をため、

その後電荷を放電することにより得ていた。一方チャージポンプでは、位相比較時にわずかの電荷の放電が生じ、

これが興味深い現象を引き起こす。...」 (*2.Razavi p.286)

興味のある方は、ご一読下さい。(私は、解っていません。)

 

4046Bは、チャージポンプを内蔵していません。

よって、除外いたします。

 

ラグリードフィルタ

MATH

ラグ・リードフィルタは、上図の構造を持ちます。(数値は適当です。)

ラグフィルタに、抵抗 R1を足したものです。

MATH

これの利点は、位相が戻ることです。(グラフの破線が、位相の変化)

 

(此れによって、系が安定するそうです。ラグフィルタなら、ー90度に近づくだけで、戻らない)

 

それと、単発のパルスを与えた場合の反応の戻りが、速いことです。(ラグフィルタに比較して)

周波数の速い変化に追従するには、必要ですが、

10MHz固定の試作機では、ラグフィルタで十分でしたので、やはり、除外いたします。

 

試作10MHz標準発振器は、どうだったのか?

ラグフィルタのCの値が、0.1$\mu F\quad $と、68$\mu F\quad $で、近傍特性を比較しました。(Cは、タンタルコンデンサ)

MATH

スプリアス特性に於いて、C=68$\mu F\quad $が勝っています。(抵抗Rの値は、変えていない)

では、そんな、ええ加減な設定で、どうして、うまく行くのでしょうか?

その辺を探ってみます。(得るものがあれば、失うものがある)

 

1.PLLの、クローズドループ伝達関数を調べましょう

MATH

$K_{PD}$が、位相比較器のゲイン、G$_{LPF}$が、ラグフィルタの伝達関数、MATHが、VCOのゲインです。

PLLの動作は、線形では、ないのですが、

それでも、線形の近似が、理解に有効なんだそうです。

(*.Hayward 「Introduction To Radio Frequency Design 」 Wes Hayward p.325 以下、*.Haywardと略す)

1.1 位相と周波数の関係は?

MATH

が、一般的なサイン波の式です。

ここで

MATH

が、位相と言われます。

私は、今まで、$\phi \quad $が位相と、ばっかり、思っておりました (^_^;;

これを

MATH

と、置くと

位相$\Phi $の時間的な変化は

MATH

と、なります。

今の場合、$\omega $は、一定とみなします。

(1)式から、

MATH

ですから

これを積分すると

MATH

と、なります。

つまり、

位相$\Phi $は、角周波数(又は、周波数)を積分すれば、求まる

と、いう事になります。

 

(微分して、積分してるから、元に戻ったことに、なるんですが、

「位相は、周波数を積分して求める」

が、大事なんです。後で出てきます。

実際には、何のことだか、実は、よく解っていません。

詳しくは、ここです。

http://www.users.kudpc.kyoto-u.ac.jp/~y57802/pll_setu02.htm

$\U{7d9a} \U{304f} $

H15.04$.$17

 

 

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