番外編 DICOM画像とNAS

画像は、IMAGE information Systems Ltd.のデモ画像、御礼

 1.小さな病院の、LAN構築のお手伝い

    知り合いの病院の、LAN構築を頼まれました。

    パソコンの選定から始まりました。 

       core-i7         
               windows7 professional 32bit

    LANケーブルの配線は、勿論、業者に依頼。

    サーバーソフト   Conquest
        クライアントソフト  K-pacs V1.6.0 ( IMAGE  Information Systems)

    検査機器(Modalityと言う)は、

      1. 心電図、各種検査機器 ---- 業者のソフト
      2. CT (H社)--------------- 業者のサーバー、クライアントソフト  
      3. 単純X線装置(K社)-------- サーバー、クライアントソフト無し

    じゃあ、私が出るまでもない....業者が設定してくれる。

    それはそうなのですが、使い勝手が悪い.....

    何が、もっとも具合が悪いかと、言いますと

        サーバーのPCは、365日、フル稼働しなくてはならない事です。

    クライアントが、サーバーの何処を見に行くか、調べて見ますと

       蓄積されたデータディレクトリーを見に行くか、それとも、データディレクトリーと、サーバーに付随するデータベースを見に行くだけなのです。

        そうなんです、ファイルを覗きに行っているのです。

    そこで

    NASの登場です。 NAS(Network Attached Storage)

        要は、ネットワーク上の、ファイルサーバーです。

    昨今は、大変お安くなっています。 4TBが、3万円を切ってます。

    以下のものは、8千円弱で購入しました。(青く光っている正方形のもの)


    もし、クライアントが、覗きに行くファイル、データベースを、この NAS上に構築できれば

    サーバーは、365日、常時稼動しなくてもよい ! -> NASだけ、常時電源ONしていればよい。

    サーバーを稼動するのは、新しいデータを、検査機器から受け取る時だけに、なります。

2.NASを試す

   1. 心電図、各種検査機器 ---- 業者のソフト

       業者から購入したソフトは、サーバー内のデータディレクトリーを見に行くだけでした。

       で、

       サーバーのデータディレクトリーの内容を、NAS内にコピー。

       クライアントは、NAS内のデータを覗きに行くように設定。

       これだけで、サーバーを停止しても、NASへの読み書きはOKでした、終り。

   3. 単純X線装置(K社)-------- サーバー、クライアントソフト無し

       購入時は、レントゲン室のモニターでしか、観察する事ができませんでした、つまり スタンドアロン。

      これを、ネットワーク上のクライアントから見る事ができるようにするには

       サーバーソフト   Conquest
           クライアントソフト  K-pacs V1.6.0 ( IMAGE  Information Systems)

     が、必要でした。

      単純X線装置(K社) -> Conquestサーバーへ転送 -> ネットワークを介して、クライアントで観察。

      「単純X線装置(K社) -> Conquestサーバーへ転送」 は、業者に依頼しないと出来ません。
       IPアドレスと、ネットマスク、及びポートの設定、AE title(DICOM機器の識別名)の設定、

       たった、これだけの設定ですが、これが、完全に有料(○十万位)、保障は勿論無し。
       この接続を拒否する業者もあるとの事。

      尚、Conquestの使用するデータベースは、Conquest内蔵のsqLiteを使用。
      このDBは、ファイルに近いデータベースで、都合がよい。これでも、1,000,000枚のimageが収容できる。当病院には充分。

      1st. step:. Conquestをインストールしたディレクトリーの dataディレクトリをNASにコピー。
            2nd step : Conquestの格納するdataディレクトリをNAS内のディレクトリーに指定。
             NASにネットワークドライブを指定する事が必要。



          サーバーを複数立てる時は、全てNAS上の同じディレクトリーを指定します。(さもないと、サーバーの保持するデータの、不整合が生じます。)

      3rd step: 
                             [Know DICOM providers] TABにて、クライアントのK-PACS 等の、AE title を設定しておく。
 
                            Save configurationを実行すると、Conquestが再起動する。

      4th step:    同じPC上に、クライアントであるK-PACSを起動する。(K-PACSでも ConquestのAE titleを設定する。

             ネットワーク上の、他のPCにK-PACSをinstallした場合:(これが通常のクライアント)

               1.このPCにも、サーバーであるConquestをinstallしておく。
               2.このPC上のConquestの[Configuration]で、Local disk directory to store DICOM imagesを、NASの同じディレクトリに指定。
                3.このPC上の Conquest , K-PACSに、個別のAE titleをつけて、登録しておく。


    Conquest: 1台目のPC上のサーバー  CON2: 1台目のPCにたてた2番目のサーバー CON3:ネットワーク上の2台目のPCにたてたサーバー

    全て、同じ内容を表しています。つまり、同期がとれています。

    ひとつのサーバーに加えた変更、追加は、瞬時に各サーバーに反映されます。

    K-PACSのこの画面では、カタカナ、漢字が出せて検索も可能なのですが、

        画像を見る画面では、Patient名が、文字化けします、残念。




    因みに、DICOM画像の仕組みは、以下のようになっています。


                       ( 出典:DCMTK CookBook   Philips Medical Systems )

    これで、

    NASの電源だけONして、サーバーを停止させても、クライアントは、いつでも 画像を検索し、表示できるようになりました。

    
NASは、RAIDを組んでいますし、HDDの交換も簡単です。

    サーバーは停止していますから、故障も少なくて、安心です (^_^;;

    問題は、以下のソフト。

     2. CT (H社)--------------- 業者のサーバー、クライアントソフト付き

    非常に高性能のソフトで、複数枚のCT画像から、瞬時に、立体の3D画像を作成し、表示させます。

    骨折の診断では、有用だそうです。

    造影剤を使った撮影の、3D画像は、とても綺麗です。

    で、

    このクライアントソフトは サーバーソフトをinstallしたディレクトリーの中の、あるディレクトリーを、覗きに行くようになっています。

    ですので

    このディレクトリをNAS内に設定する事が、果たして可能か?

    できなければ、クライアントのデータベースと、サーバーのデータベースの同期がとれなくなります。

    同期がとれないなら、

        結局、サーバーマシンは、365日フル稼動.....NASも意味無くなります  (-_-)


H.23.08.04