復調は、これでしょう! 高次サンプリング

1.10年以上前のHam Journal誌から

 

 Ham Journal 第74号(1991年7.8月号)の特集は、「DSPの働きとHF機への応用」です。

ケンウッド通信事業部 無線技術部の方が、書いておられます。

外部DSPユニットDSP-100が出た時の解説です。(実は、私も使っていた...)

ここに、非常に興味ある事が、書いてありました。(当時は、意味が、全く解らなかったわ。)

 

 

「多くの文献が、サンプリング周波数の1/2以上の周波数の信号をサンプリングすることができないかのように

説明していますが、サンプリング周波数が1/2ごとに位相が反転しながら繰り返される時間離散信号の

帯域を越えることがなければ、始めに述べた時間連続系と離散系の相互の変換は可能なのです。

たとえば、周波数1KHz、サンプリング周波数10KHzの時間離散信号を時間連続信号に変換するとき、

1KHzではなく、9KHz、11KHz、29KHz...に変換することもできます。

逆に、時間連続信号を時間離散信号に変換するのに必要なのは、時間離散系の複数の帯域に信号が入力されて

エイリアシングが生じないようにすることです。

 

このような操作によれば、アナログ信号の周波数が高くても、ディジタル信号に変換する際、サンプリング周波数を

高くすることなく、DSPの扱いやすいサンプリング周波数で処理をすることが可能になります。

このようなサンプリングを、サンプリング周波数の1/2までの帯域を扱う通常のサンプリングに対して

高次サンプリングと呼びます。

 

高次サンプリングでは、サンプリング周波数の整数倍の周波数はDCと同じ意味を持ち、DC〜サンプリング周波数の

帯域を1としたときのn番目の帯域における周波数の方向は、偶数時では反転していることに注意してください。」

(同誌P.18)

    次数が2、つまり、サンプリング周波数の2倍で、確かに、なんか、反転している。

    波形が変なのは、入力のSGが変なのか、増幅回路のせいなのか、わからんけど...

    上がAD変換への入力波形、下がDA変換後の出力波形。

 

 

「実際にD/Aコンバーターにより高次の成分を取り出そうとするとき、信号が減衰してしまって取り出すことが出来ません。

これは、D/Aコンバーターの零次ホールド特性を原因とするアパチャー効果と呼ばれるもので、これは、理想D/Aコンバーター

の出力パルス幅が無限小であるのに対し、実際のD/Aコンバーターでは、1/fsの間ホールドされるために高域の信号が

減衰するため発生するものです。

 

アパチャー効果は、D/Aコンバーターの出力をパルス状に切り出すことにより改善することができます。

...ただし、高次サンプリングで取り出し可能な次数は、高い次数ではD/Aコンバーターのアナログ的要因により

歪やS/Nが悪化します。」(同誌)

 

この件に関しましては、西村OMも、書いておられます。

 

4)出力パルスのデューティを変える場合

 

これは、直接的に、ゼロ次ホールドをやめて、図2-23のように出力デューティを変えて、ゼロ区間を挿入する

ものです。これにより、周波数特性の劣化は図2-23の右のように弱まり、補正が必要なくなる場合もあります。

ただし、同じ振幅のパルスを使えば、それだけ再生される信号出力レベルは少なくなりますから、S/N的には不利です。

しかしこれは、ディジタル信号処理でけではなく、アナログ回路でサンプル&ホールドを使う回路などにも応用が可能です。

たとえばCCDの信号の出力は、サンプリングされた信号です。これの出力パルス.デューティを変えることだけで、

周波数特性の改善が得られます。」

 

2-3-1 Fs/2のプリ.フィルタとサンプリング定理

 

それらの変換を通しても、元のアナログ信号の情報を失わないようにするためには、シャノンのサンプリング定理を

満たす必要があります。すなわち、図2-3で示したように、A-D変換される信号が、サンプリング定理の周波数の1/2以下の成分

しか含まない事です。

これは、多分どなたもご存知の定理です。しかし、A=Dコンバータに、もっと高い周波数の応答性がある場合、

Fsから3Fs/2に帯域制限された信号をA-D変換した場合どうなるでしょう。0からFs/2までは信号がありませんから、

元の信号との混信は発生しません。しかし、信号からFsを引いたエリアス信号が現れます。

すなわち、エリアスをうまく使って周波数変換をしたようなものです。場合によっては使えそうな考え方です。

したがって、AーDコンバータをインパルスで変調する乗算器と考えれば、もっとイメージを広げることができます。...」

(p.32、18 DSP処理のノウハウ 西村OM著 DesingWave CQ出版社)

 

サンプリング定理に付きましては、

なひたふ新聞読者の声の「サンプリング定理にまつわる誤解」のスレッドを

ご一読ください。(私は、まだ、よく解ってない...)

 

2.高次サンプリングの、基礎実験の真似事を、やってみました

 

SH7047FのAD変換器の変換時間(tCONV)は最高131ステート(周辺クロックP$\phi $に対して)です。

サンプリング時間そのものは、30ステート位。安全を採りすぎてませんか?

 

私は、P$\phi $を24.576MHzで使ってます。(A/D変換はシングルモード)

従いまして、

    131ステート=MATH

(ルネサス社 Sh7047シリーズハードウェアマニュアルより)

 

なのですが、500KHz近くまで、AD変換器に入力してみました。

まず、AD変換器に約2KHzを入力し、サンプリング周波数を計測します。

 

MATH

サンプリング周波数fsは、94.516KHzと、なりました。

 

従いまして

2fs=189.032KHz

5fs=472.58KHz

です。

 

ここに、191KHzの信号をAD変換器に入力いたします。

(AD変換器の前段の増幅器は、オーディオ帯域のままなのですが、AD変換器入力は、ゼロには、ならない)

MATH

 

191KHz 189.032KHz(2fs)=1.97KHzですが、

オシロで、ほぼ、その差に等しい周波数の波形が観測されました。

 

MATH

 

次に5fs近くの474.5KHzを入力いたします。

474.5KHz 472.58KHz =1.92KHz

MATH

MATH

MATH

 

なるほど! 理論どおりですね。

SH7047FのAD変換器に、475KHz付近を入力しても、出力は、結構大きいですね。

 

475KHzを、サンプリング出力とするのではなくて、

オーディオ帯域を出力するので、サンプリング可能なのでは、ないでしょうか?

 

ダイレクトコンバージョン受信機みたいで、シンプルで、ええわあ。

サンプリングするだけで、ミキサーの働きまで、してくれはって、最高!

 

正しくは、高い周波数に対応したAD変換器を使うのがよいのでしょうが

Sh7047F付属のAD変換器も、使えるのでは...

 

勿論、AD変換器前段の、増幅器は、もっと高い周波数に対応したものにするべきですが...

 

ディスクリートで、ええんとちゃう?

愈々、2SC1815の出番か? なんせ、ぎょうさん、ありますので...(^_^;;

 

 

H.16.4.6

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