突然ですが、周波数変換回路の検討

1.ICを使うことを止める

 

理由は、シミュレーター (今は SwitcherCadV)を、使えないからです。

全体は、前節の、BPF+高周波回路に、ダイオードによるダブルバランストミキサー回路(52.ミキサーの基礎 その1 で使ったもの)

を繋いだだけです。

単純に繋いでよい理由は

MATH

と、なって、負荷が500$\Omega $のものより、Qが高くなって、更に都合がよいからです。

dsp50__3.gif

それと、赤丸で囲んでいますが、このフィルター回路は、no goodです。

今回は、455KHzに変換された信号を扱うのですが

色々検討の結果、使えないと言う結論に達しました。

 

尚、ダイオードリングに使った、ダイオードモデルは、1ss16です。

実際には、手持ちの1ss97を使うつもりです。

 

スパイスの各種モデルは、数理設計研究所、玉置様

あの「「八木アンテナを作ろう CQ出版社刊」を書かれた方ですよ! 私も読者の一人です。)

の製作されたモデルを使わせて頂きました。玉置さま、誠にありがとうございます。

 (「リンクはインターネット社会の基本、通告の必要無し。」との、有り難いお言葉ですぞ、みなさん!)

 

2.何故、使えないのでしょう?

 

赤丸で囲んだ回路は、455KHzの市販IFTを、元にしています。

この後ろに、セラミックフィルタを入れるつもりです。(455KHzIFTは、そのセラミックフィルタの副共振等を取り除く為です。)

手持ちのセラミックフィルタの特性の実測は

dsp50__4.gif dsp50__5.gif

村田製作所の、CFUM455B、もしくは、CFUS455Bだと、思います。(古いので、型番が違うのです。)

 

私の手持ちの455KHzIFTは、東光TYPE 7P with Internal Capacitor

7LC-252142N0 180+5(ext)pF 146:37 146:20 70 ア 20% 455

に、よく似ています。ちがうかもしれません。同調用キャパシタ入りです。

 

これをSwitcherCadにて、シミュレートしてみましょう。

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これを見ますと、

信号源インピーダンスが、50$\Omega $と、低いと、全然ピークが見つからんのです。

 

一方、「ダブルバランストミキサーの各ポートは数十$\Omega $のインピーダンスで取り扱います。」(トロイダルコア活用百科 p.247)

なのです。

 

それに加えて、共振回路に、直列の、高抵抗を入れると、NF(ノイズフィギュア)が、最悪です。

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つまり、455KHzIFTは、高信号源インピーダンスの所で、使われるべきなのでしょう。

IFTの同調容量も180pF付近だし、同調Lも、それに連れて650uH付近になるのです。

 

そうなると、お得意の、Lマッチでインピーダンス変換か?

これ、面倒です。

 

それよりも、

Nuherts社のフリーソフト、Filter Free3.0で、1stオーダーのバンドパスフィルタを使った方が、簡単です。

dsp50__12.gif

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1.674$\mu H$付近のコイルは、製作可能です。

73nF=0.073$\mu F$は、どうしましょ?

「抵抗&コンデンサの適材適所 CQ出版社刊p.68 図4-4」をみますと

フィルムコンデンサなら、少なくとも2MHz以下で、使えそうです。

 

果たして、1stオーダーのBPFフィルターで、セラミックフィルタの副共振が抑えられるかどうか

これから、試してみる所です。

 

3.面倒は、通用せん!

 

FilterFree3.0で、コンデンサが0.1uFになるように、帯域を調整しました。

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この特性がでるか?

試してみましたが、-20dBも下がりませんでした。

3-1

マイクロインダクターと、空芯コイルの特性比較

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ご覧のように、コンデンサを変えないで共振周波数、減衰等を測った所

マイクロインダクターと、空芯コイルに、殆ど差は、ありませんでした。

 

マイクロインダクターは、1uH。

(大阪のデジットで購入しましたが、店員さんに聞いた所、太陽誘電のものらしいです。

と、言うか、太陽誘電以外のものは、出回ってないでしょうとの事です。)

で、マイクロインダクター1uHで行きます。

3-2 コンデンサでの比較

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上記のフィルムコンデンサ2種と、積層セラミック及び、セラミックコンデンサ各0.1uFで比較しました。

インダクターはマイクロインダクター1uH(太陽誘電らしい)です。

 

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緑:積層セラミック 黄:セラミックコンデンサ

 

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緑:積層セラミック 黄:フィルムコンデンサ

特性は似ているが、フィルムコンデンサの方が損失が大きい

ついでに、タンタルコンデンサ0.1uFとの比較

 

dsp50__24.gif
緑:積層セラミック 黄:タンタルコンデンサ

圧倒的に、タンタルコンデンサの負け!

 

結論として、

この中では、積層セラミックに分があります。

 

そんで、積層セラミックコンデンサ0.1uFと、マイクロインダクタ1uHの組み合わせで行きます。

しかし、Filterfree3.0の周波数特性は、とても、望めませんでした。

 

3-3 積層セラミック0.1uF+マイクロインダクタ1uH と、セラミックフィルタの組み合わせ

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黄:セラミックフィルタ単体の特性 緑:積層セラミックとマイクロインダクタの組み合わせ+セラミックフィルタ

 

簡単なものでも、特性が、大分改善されているのが解ります。

dsp50__26.gif

 

最終的には、中心周波数を455KHz付近にもってくる為

L=0.86uHのマイクロインダクター、C=0.15uFに決定して、以下の特性を得ました。

先ほどと比べて、ほんのちょっとだけ、改善されました。

 

これで良しとするか、それとも

Lマッチ+455KHzIFT+セラミックフィルタにするべきか、迷っています。

こちらの方が、特性がよいのに決まってますが...

 

4.こら、あかんわ

 

Lマッチ+455KHzIFT+セラミックフィルタにするには

インピーダンス比は、巻き線の2乗に比例しますから

終端が1.5K$\Omega $とすると、並列共振回路への信号源入力インピーダンスは

MATH

より

MATH, 解は: MATH

すると、

Lmatchは50$\Omega $から、80K$\Omega $への変換。

 

Lmatchの各素子を計算すると

L=3.868mH     C=31.6pF

 

この事の解釈なのですが、

 

    並列共振回路は、共振周波数では、インピーダンスが無限大で

    信号源インピーダンスが80kΩで、これが共振回路に、並列のインピーダンスとして、存在すれば

    この回路の出力インピーダンスが、丁度、1.5kΩになると思うのです、違ってるかな?

 

dsp50__33.gif

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L=3.868mHが必要!

堪忍してえな、降参。

 

しかし、大阪の共立に

太陽誘電 縦型マイクロインダクタ LHL06シリーズ 3.9mH

があるようです。

 

これは、丁度いい値です。

試してみる価値は、おおいにありますね。

特性が、物凄く改善されるはずやから、楽しみやわ...買いに行こかなア......

 

4-2 で、3.9mH買ってきました。

 

            緑:前出の1stオーダーBPFによるもの    黄:L-match+IFTによるもの

 

 

下の図は、アベレージングにより、トレースノイズを低減して計測した結果です。

 

 

 

なるべく、左右対称になるように、IFTコアで調整しました。

 

所で、調整後の、IFTの共振周波数は442KHzでした!

(と、言う事は、1stオーダーのBPFも、共振周波数を、442KHz付近に合わせるべきだったか!ぬかったわー)

 

IFTの共振周波数を、455KHzに合わせると(IFTコアで調節する)

こないに、なります....

 

やっぱり、左右対称の方を、採用します。

 

しっかし、IFTの共振周波数が、442KHzとは....

 

もっとも、

 

手持ちの関係で、L-matchのc=33pF(本来31pF)、L=3.9mH(本来3.868uH)やし、

L,Cの誤差もあるし... 

 

実は、訳解らんのですが、  涙 (T_T)

 

 

 

4-3     2ndオーダーのBPFフィルタでは、どうや?

 

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dsp50__36.gif

dsp50__37.gif

うーむ、

実現できない事もないけど、

 

450KHz付近で使えるトロイダルコアもあるけど、灰色のアミドンのやつ。

ニノミヤの5階で、T-50が、確か、置いてあったけど、買ってないわ...

 

455KHz付近は、あんまり馴染みないから、手持ちパーツが全然ないわ...

今回は、パスします。

 

そんな訳で、

 

今回は

マイクロインダクター0.8uH+積層セラミックコンデンサ0,15uFの組み合わせで、セラミックフィルタに繋ぎます、 涙...

 

以上の考察と、その他のアイデアを纏めますと

2番目は、入出力共に50ΩのBPFを追加して、下段はそれを纏めたもの(いけそうな気がするのですが、うまくいかん...)

1番目と3番目は、前述のアイデアそのままです。

 

 

 

H.16.8.25

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