一石の中間周波増幅

1.2SK193Fでは、一石は無理

2SK193Fで、一石のAGC付き中間周波増幅器を考えましたが、

出力が小さいのと、その為に、AGCの効きが悪いため

2SK193Fの2石を考えました。

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しかし、2SK241を使うと、

ゲインが取れて、AGCの効きも、よい事に気づきました。

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回路は、できるだけシンプルがよい、と、思いますので

この回路を採用しました。

2.この一石の回路の特性

前提として、

アンテナ入力から、中間周波増幅に至るまでの、トータルの利得を、シミュレーションで得ました。

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周波数変換回路等が入ると、

全然、リニアじゃないんですね.....びっくり。

以上を前提として

中間周波増幅の入力を、S9S9+60dBで、代表させました。

この2つの値で、調べて行きます。

まず、AGCは、ほんまに効くのか?

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効きそうですね。

これが効く理由は、

ゲートのバイアスをゼロバイアスに採っているから、です。

こうしないと、AGCが効かないのです。

(3SKなら、ゲートが2つあるから、安定したバイアスと、よく効くAGCが得られますよね。)

例えば、以下のようにして、AGCを効かそうとしても、

過大入力に対してしか、AGCが効かないのです。

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ところが、

前述の回路(再掲)にすれば、よく効きます。

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これが可能なのは、中間周波入力のレベルが、低い(小さい)からです。

今の場合、S9+60dBでも、45mVpなので、

ゲートソース間の電圧が、+0.6V付近に至らないから、なのです。

その効きを見てみましょう。

ドレイン電流の変化です。

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下の青い線がS9+60dBですが、ドレイン電流の大きさの変化の帯が、1mA位しか、ありません。

次は、出力電圧の変化です。

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$\vspace{1pt}$何となく、AGCが効いている気が、しませんか?

負荷は、15KΩです。(この値は、後で検討します。)

(こんな効き位では、駄目なのかも知れませんが、

なんせ、私、自分で設計した事がないので、ええかげんです、ごめん。)

これは、AC解析で得た、ゲイン測定シミュレーション値です。

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3.出力のインピーダンスが、大きくても、いいのか?

2SK241のデータシートが、webで見つからないので、

シミュレートしてみました。

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このグラフを元に、負荷線を描いてみましょう。

普通は、ピンチオフ電圧より、上の範囲を使い、

負荷インピーダンスは負荷線の直線範囲が広くなるように、値を決めます。

(「高周波回路の設計、製作鈴木憲次先生CQ出版」p.41)

今の場合AGCがありますので

S9+60dB(45mV)の入力の場合で、調べます。

AGCが効いて、ドレイン電流は、大体2.4mA位に、落ち着きます。(再掲)

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ですので、動作点は、Idが2.4mA位に、なります。

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動作点(10V、2.4mA)を通り、ピンチオフより右を使い、

動作点と、距離が、対称になるような、直線を描くのですよね。

これで、最適負荷インピーダンスを計算しますと

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約2KΩと、なります。

ところがですね、

今の場合、ドレンイの負荷は、こんな風になっていますから

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共振器は、インピーダンス無限大、

C3は、直流を切るだけのためで、インピーダンスは、3Ωほど(@455KHz)

ですから、

R2が、実質の交流負荷です。

このR2は、共振器と繋がっていますから、

ここを、できるだけ大きく採らないと、共振器のQが、下がってしまいます。

ゲインも、がた減りです。

試しに、R2=600Ωに、してみました。

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そこで、一計。

S9+60dBの入力でも、ドレイン電流の帯の大きさは1mA位しか、ないのですから

交流負荷、R2を、もっと、大きくとっても、出力波形が潰れることは、ないと思います。

余裕を見て、プラスマイナス1mAの範囲をとって

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この範囲で、波形が潰れなければ、

明るい青色の負荷線でも、いける、と、思いました。

つまり、今の場合

$\qquad $

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実際には、もっと、大きな値を採って、15kΩまで、もって行きました。

(高いQが、欲しいし、ゲインも40dBは、欲しいねん...)

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4.これで準備は、整いました

何しろ、AGC回路なんか、はじめて作りますので

時定数も、目茶目茶。これは、Cの値で加減できると思いますが...

これで、うまく働きますか、どうか.......頼む!働いて....発振せんといてな....

ほな、作ってみます。

H.17.3.16