伝送線路的トランスを用いたインピーダンス変換(1:4)

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前回、上図の回路で、インピーダンス変換をシミュレートしてみました。

確かにインピーダンス変換が、なされている事が確認できました。

理論が解らなかったのですが、その糸口が掴めました。

解明のカギは、やはりシミュレートでした。

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負荷のR1の値を、50,100,300,1k$\Omega $に設定して、その違いを探りました。

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負荷R1の値が、大きく変わっても、

L1,2に流れる電流は、大きな変化はありませんでした。

L1、L2に流れる電流は、殆ど、同じ大きさでした...

トランスは、このような仕様なのでしょうか?

よく解りませんが、

今回は、深入りしません。

負荷が、どのような大きさであれ、L1、L2には、等しい電流が流れることになります。

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R1が、信号源のインピーダンスRの4倍と仮定すると

R1 =4R

Lの入力端の電圧と電流の関係は

MATH

(信号源の電圧を2Vと置くと

V=2V-IR だから

です。

この時、R1の電圧は

$\vspace{1pt}$

MATH

と、Lの入力端の電圧Vの2倍になります。

やっと、謎が解けてきました、やれやれ (^_^;;

信号源あたりを、正確に書くと、こうなります。

kihon2__9.gif

信号源の電圧は、2Vで、Lの入力端の電圧は、Vになります。

では、Port2を開放にした場合はどうなるでしょう?

kihon2__10.gif

やはり、電流で考えます。

L1,2には等しい電流が流れます。

Port1には、L1と、L2,R1を経由した電流が合流して、やはり、元の大きさの電流が流れます。

電位差を見てみましょう。

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青色の文字が電圧、赤色は電流

信号源の電圧をV、電流をI、内部抵抗をRとすると

Port1は、

電流の大きさが I

R2=2Rとすると

電圧=2IR

Port2は

電流の大きさがMATH

R2=4Rとすると

電圧=port1との電位差 + Port1の電圧 = 2IR + 2IR = 4IR

sumPortは

電圧 = V -IR

と、なりますから

各部位の電圧の比は

MATH

ここで、Port2の一番大きい電圧 4IRを基準に考えて

s

V = 4IR

に、とると

umPortは

V - IR = 3IR

と、なりますから、各部位の電圧の比は

MATH

と、なります。

kihon2__15.gif

ところで

kihon2__16.gif

この部位の回路なんですが、

両端の電圧が、それぞれ 3RI 2RI ですから

電位差は IR

ですので

kihon2__17.gif

この回路と同じ、つまり

信号源の内部抵抗R と、同じ抵抗が、回路に直列にはいったのと、等価です。

つまり、

元の部分的回路

kihon2__18.gif

は、R1の100$\Omega $が、MATH

考えれば、よい、ようです。

こんな回路、私は、初めて見ました..(考えにくい...)

作った回路の実際

MATH

$\vspace{1pt}$ここで、もし、SumPortの抵抗を50$\Omega $に変えると

SumPortでの出力は、丁度6dBm減少するのですが、

その代わり、アイソレーションが極端に悪化して、NGです。

kihon2__25.gif

ここは、やはり、規定通り、50$\Omega $の抵抗を並列に入れてやると

出力コネクターは、50$\Omega $のものを直接接続できます。

すると、50$\Omega $の抵抗と、出力コネクタに繋いだ50$\Omega $のインピーダンスのもので

並列接続で、合計25$\Omega $となり、規定値になって都合がいいです。

ですから、挿入ロスは6dBmになるはずです。

確かめました。

kihon2__31.gif

kihon2__32.gif

大体、一致しています。

100MHzでも、0.1dBm以内しか違いませんから、使えます。

次に

Port1,2に100KHz離れた、7MHz台の2信号を入力して、

ベース接地の1石アンプに繋ぎ

IMD測定の基礎を試みました。

(定性的で、定量的なものではありません。

インピーダンスマッチングもしてません

MATH

負荷のインピーダンスマッチングも、していないので

この時点で、3dBハイブリッドも、アイソレーションが、かなり悪化していますが

アンプの3rdIMDの存在は、確認できました。

2信号入力が-10dBmの時点で、かなりの3rdIMDが観測できました。

kihon2__36.gif

定量的に観測するには

負荷のインピーダンスマッチング
アッテネータ

が、必要だし、

dBm表示で特性曲線も描きたいし...

SGの出力も不足しています。

安易にアンプを入れると、どのIMDを測っているか、わからなくなるし...

課題は多いですね...

H14.12.25

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