「定本 トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣著 CQ出版」p.53に
1石アンプの雑音電圧特性の計測の仕方が、書いてありました。
入力端子をショート して、スペアナで観測すればよいのです。
(正確ではない、測定法だそうです。)
(スペアナがない?...FRMSがあるではないですか!
JF3HZB上保OMが設計された、素晴らしいスペアナです。
http://member.nifty.ne.jp/twave/tcl/work/frms/
私も、作ってみたいです。
さて、スペナアの解像度を300Hzに設定します。(1KHzでも、いいのですが...)
内臓アッテネータを、外して置きます。(0dBmに設定する)
今は、7MHz~7.1MHzで観測します。
観測結果は -111dBm です。
7MHzにおける、2SC1815 1石広帯域の増幅度は、計測より、30dBなので
この値を入力換算すると
-111 + -30 = -141dBm(入力換算)
この値を、ワット単位に変換する。
10log(1000 x ne)=-141 (ne 雑音レベル)
ne=
これを、等価雑音温度 Tに変換
ne=kT
T
やっと出ました。
うーん、NFが悪いですね...トータルですから、こんなものか...
〔計算の仕方は 「トロイダルコア活用百科p.114 第1.5表を参照した〕
バンド幅が違っていても、同じように計算できます。
計算式は 同じ表に載っています。
F=1+
ne=kT
=10log(1000xne)
です。
このアンプのフロアレベル -111dBm は、dBに換算してみると
ne=
から
, 解は:
より
dB
ですから、フロアレベルとしては、0.63 なのですから
これだけを、取り上げれば、受信可能なのです。
下の図は、このフロアレベルと、ある日の7MHzの様子を同時に写したものです。
(アンテナは、急造 inVですから、S/Nも、VSWRも、あったもんじゃありません)
下の帯が、このアンプのフロアレベルです。
少なくとも、この日の7MHzのお空の雑音レベルより下です。
それで、もしかしたら、使えるのではないかと、考える訳です。
計算してみましょう。
7MHzで、Sが1~2位の信号、6dB が入ってきたとしましょう。(仮定)
お空のS/Nは 観測より
S/N
一方、このアンプのNFは8.8dB、Gain=30dB。
すると、アンプで雑音が追加される訳ですが、計算してみると
つまり、6dBの信号は、アンプを通すと
信号は、雑音のレベルの0.4倍になります。。
信号は、ノイズと、最初3.2倍の開きだったのが、アンプを通すと0.4倍になる。
ということになりました。
敢え無く、ノイズの中の埋もれてしまいました...
(1)式の計算の基礎になる式は
F=
(「Introduction To Radio Frequency Design Wes Hayward著」p.204 chap.6 Practical Amplifiers and Mixers 6.1-4式)
これより
LOG F = LOG() ー LOG()
NF = 10 X LOG F =10 X(LOG() ー LOG())
これが (1)式です。
そんじゃ、信号が15dB(Sが5か?)なら、どうか?
同じ計算で
S/N
信号の対ノイズ比が、9倍から1.2倍に落ちます。
検波可能としても、人間の耳にノイズと聞き分けられるか、どうか、よく解りません。
どうも、2SC1815 1石広帯域増幅器は、受信機の初段には
これだけでも、分が悪いですね。
でも、使いたい...仰山2SC1815 抱えてますので...
アンプの入力側に、超狭帯域(つまり、Qの高い単峰性)の共振回路を加えると、ノイズが減りますから
どうでしょうか?
しかし、コレクタ電流を減らすと、内部ノイズは減るのですが、どうなんでしょう。
この関係を調べてみました。
左側のノイズの観測では、確かに、ノイズが減っています。
Ic=10mA で -111dBm
Ic=1mA で -122dBm
ええ調子なんですが、ゲインの方が...下がるんです。
右側の増幅度の観測では、7MHzで、20.2dB。
すると、
Ic=1mAの場合
入力換算で
--122dBm + -20dB = -142dBm
となり、
Ic=10mAの時の入力換算したもの、-141dBmと
同じになってしまいましたわ...
でも、
実際に シングルスーパーを作ってみましたら、強い信号は、快適に受信できました...(Sメータなし、AGCなしの試作品です)
(但し、7MHzの100KHzを,分割しなければ、なりませんが...)
Linear Technology の SwitcherCad3(いつも使っているもの)は、ノイズの解析もできます。
フリーで、これだけのものがあるのは、素晴らしいです。 ありがとうございます。
回路は、いつもの、2SC1815 1石広帯域増幅器です。
ノイズ解析の設定画面です。
負荷の所のノイズを測ります。
inoise は 普通のspiceでは、入力等価ノイズ
onoise は、同じく、出力総ノイズ といいます。
(「spiceによる電子回路設計入門 ポール.W.トネンガ著 松本訳 CQ出版」p.105 )
inoiseは、onoiseを入力換算したもので、これに、増幅度を加えると、onoiseになるようです、よく解らん...
SwitcherCadのonoiseは総ノイズでは、ありません。
総ノイズを出すには、別のコマンドがあります。
それから、個々のデバイス、抵抗等からでるノイズを個別に見ることができます。
今、周波数の範囲を300Hzに限定し、その総和を出し、
それに、アンプのゲインを足したものが、入力換算のノイズ(300Hzバンド幅)になります。
上記のグラフのonoiseの総和を取るには、
CTRLキーを押したまま、V(onoise)の所を、クリックします。
総和は、560nV=0.56です。
これは、出力の50のところの電圧ですから
電力Dは
これに、アンプのゲイン 30dB を加えて、
入力換算で
-112.03 + -30=-142.03 dBm
です。
これが出れば、あとは 先ほどの7MHzの時の計算と
全く同じです。
実測と、よく合っています。
NF、IP、を理解するのに、非常にお世話になったサイトを、ご紹介します。
高周波回路教室のここ
http://www1.sphere.ne.jp/i-lab/ilab/kairo/k6/k6_5.htm
それから
Tanaebonさんの (新設のホームページのようです。トップページへ行くと、いい音楽が流れますよ。)
http://www.h5.dion.ne.jp/~tanaebon/top/job/rflab.html
です。
H15.02.04
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