PLLを理解したい その6

1.チョット、いたずら心を...

 

前回、クローズドループゲインを求めました。

MATH

 

ここで、10MHz発振器の場合

MATH

で、

R=1.4K$\Omega $ で、C=0.1$\mu F$の場合と、C=68$\mu F$の場合を比較いたしました。

C=0.1$\mu F$の場合

伝達関数H(s)は

MATH

でした。

今、Mapleという、計算エンジンが、せっかく、あるのですから

これに、逆ラプラス変換を、やってもらいました。

MATH, は次のラプラス変換

MATH

C=68$\mu F$の場合

MATH

MATH, は次のラプラス変換

MATH

これら(1)、(2)式のグラフを、計算エンジンに書いてもらったら


PLL7__15.gif
(1)式 C=0.1$\mu F$の場合


PLL7__17.gif
(2)式 C=68$\mu F$の場合

(1)のグラフは、ちょっと、見づらいので、拡大すると


PLL7__19.gif
(1)式 C=0.1$\mu F$の場合(拡大)

これから、

C=0.1 $\mu F$の時

伝達関数H(s)を、時間軸で見たものは

0.2秒以内で、ゼロになっています。

C=68 $\mu F$の時

伝達関数H(s)を、時間軸で見たものは

もっと、遥かにゆっくり、5秒位かかって、ゼロに収束していきます。

これが、PLLの1周期毎の、収束に要する時間では、ないかと思うのです...

C=68$\mu F$の場合なんか、もの凄い時間が掛かるから、

1周期の反応が、幾重にも重なって、どんな反応するんやろ、想像もつかん...

2.ダンピングファクター、natural frequencyと、伝達関数の関係

 

「PLLの動作を理解するために伝達関数の分母を、制御理論でなじみのある、

MATHでおき換える、ここで MATHはダンピングファクタであり、$\omega _{n}\quad $は系の固有角周波数である。」

(*Razavi p.280 「RFマイクロエレクトロニクス」 黒田監訳

 

natural frequencyの邦訳は 固有角周波数だそうです。

(簡単なPLLにおいて、MATHと入出力周波数とは関連がない *Razavi

伝達関数H(s)は、(著書によると、分周比Nは省いてある)

 

MATH

でしたから

これと、制御理論の式 (全く、馴染みがないんです (^_^ ;;

 

MATH

を、見比べて

sの項

    MATH

常数項

MATH

    MATH

 

だから、整理すると

MATH

MATH $(4)$

式が、導かれます。

(そうか! 変数を、置き変えた訳ですね。)

「よく設計された二次のシシテムでは、$\zeta $はたいてい0.5より大きく、平らな周波数特性のためには

$\zeta \quad $MATHにするのが望ましい。従って、$\zeta $MATHなら

MATH といったように、kと$\omega _{LPF}$を独立に決めることはできない

(*Razavi p.281

ダンピングファクタを使うには、二次のシシテムであることが、必要なようです。

 

3.実際に設計してみましょう

$\zeta $MATH

$K=$ MATH

に、採ります。

 

この時

MATH

ですから

MATH

C=0.1$\mu F$に採ると

MATH

でしたから

MATH (7.3MegMATH)

MATH

$\omega _{n}$は、ついでに、出して置きましたが、意味は、わかりません。

しかし、$\zeta $MATHは、Rの値の大きさから、チョット、実現不可能では...

C=68$\mu F$に、したら、どうでしょう?

MATH

は、同じ。

MATH(10.7KMATHおおっ!実現可能や!!!)

この値が、探し求めていた値やったんです!!!(今、やっと、出た '(@_@)'

$\vspace{1pt}\quad $

MATH

は、同じです。

 

「ダンピングファクタ等、要らん」と、思っていたのに、

CRの値を決定するのにもの凄く、役に立った訳です。

(私が、実験で、最初に決めた値R=1.4K$\Omega $、C=0.1$\mu F\quad $が、ええかげんで、不安やったんです。)

そう言えば、Haywardさんも、いきなり、CとRの値を、決めていて、

何で、その値になるのか、読みながら、判らなかったんです、ハテ???

(*Hayward p.328 「Introduction To Radio Frequency Design」(7.8-7)

  

 

 

何とか、happyに、成れました。

このホームページは、斯様に、自分の実験との、同時進行のページです。

「もう一回やれ」と言われても、2度と、できないと思います。(感動が薄れるから)

 

 

次なる標的は、Yahooオークションで見つけた

デジタル・バランスド・モジュレータ (¥3,980)に、なると思います。

(と言うか、もう送金先を、メールで問い合わせました...)

どうなることやら...

H15.04.25

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