増幅器の動作点は、どうやって決めるのでしょうか?
今回は、そこを探ります。
例によって、最も基本的な特性から、さぐります。
2SC18158を例に揚げます。
東芝の2SC1815のデータシートを見ますと
Ic-Vc曲線が描かれていますが、範囲が手ごろでないので
シミュレートしてみましょう。
流す電流が、数ミリアンペアの範囲を取り出してみます。
それには、ベース電圧を、もっと下げてみると、よいです。
ここで、
もし、コレクタ-に1Kの抵抗を入れると
その負荷線は、どうなるでしょう?
赤線で引いたものが負荷線です。
Ic=0の時は、Vc=10V(これはVcc=10Vそのもの、電圧降下がないから)
Ic=3mAの時は
負荷1Kに3mAの電流が流れるのですから
コレクタの電圧は降下して
と、なります。
ですから、負荷線は、10V、0mAの点と、7V,3mAの点を結んで
延長すれば、よいのです。
では、コレクタ負荷を5Kにすると、どんな負荷線が引けるでしょうか?
先ほどと同じです。
今度も、0mAの時 Vc=10Vです。
Ic=1.2mAの時
負荷での電圧降下は
ですから
1.2mA,4Vの点と、0mA,10Vを結べば、よいのです。
話をRL=1Kに戻し、動作点を決定しましょう。
Vce=10-Ic x RL
で表された負荷線で、
Vce=0 となるのは
Ic=
ですから、以下のようになります。
Icが0mAから10mAまで、
Vc=0Vから10Vまで変化しますから
この時、
出力電圧は、動作点を中心に、ピークで振れる訳ですから
このアンプの最大出力は、
と、言うことになります。
実際には
コレクタ電流が小さい領域は、Ic-Vb曲線が詰まっていますから(波形が歪む)
もう少し狭い範囲を、とってやるといいです。
入力が大きくなると、電流、電圧のクリッピングが生じます。
動作点にするVbは、グラフから0.7V位。
限界は、Vb=0.72V位ですから、
(VBE sat ベースエミッタ間飽和電圧は0.02V位。この範囲は避けるが
今の場合、小さいので無視する)
)
入力として、+0.020V(+20mV)ピーク以上ものが入ってくると、Ic=10mA以上になりません(クリップする。)
20mVの入力の変化で、Vcは5V変化していますから
電圧増幅率は
負荷が1kの時の最大出力は
に、なります。
次に、
負荷が1kとして
エミッタに繋ぐ抵抗値を決めましょう。
これを入れる理由は、電流帰還を使って、動作点が変動しないようにする為です。
今、Ic=5mAを動作点として、決めましたから
エミッタ電圧を1Vと仮定すると(1Vあれば、安定するようです、略)
エミッタに挿入する抵抗Reは
と、計算されます。
ベースの電位は、
これより0.7V高い電圧に設定すると、
Ic=5mA
に、なるはずです。
シミュレートで、Operating Point(動作点) を調べてみましたが
大体、計算通りでした。
負荷線の傾きは
1k
に、変わり、負荷線が違ってきます。
(最適な動作点のIc=
今までの考察では
出力を取り出す為に、Cを通して負荷抵抗を繋いだり
エミッタをCで接地すると、
次回は、これを題材とします。
H15.01.14
This document created by Scientific Notebook 4.1. この文書は次の製品で作成しました Scientific Notebook 4.1.