前節の1石広帯域アンプについて、入力インピーダンスの測定結果を再掲します。
(測定は、HP 8712ETを使用)
Ic=10mA |
計算式を使って出したグラフは
CE回路の、計算による入力インピーダンス(Ic=10mA)
似通った傾向を示しています。
の、周波数 F による変化は、上式で与えられます。
low frequency)
(出典 「Introduction To Radio Frequency Design, Wes Hayward 著」p.5)
又、
(原文は同著の
なる定義があります。
2SC1815 GR の例では
データシートより
なので
MHz 。
又、
そして
MHzより、十分大きい周波数Fでは(十分大きくなくても、よく一致するわ...)
で、計算してよい。(グラフが、上記の曲線と、ピタリと一致している)
で、計算されますので
エピタキシャル、プレーナー型のTrの場合(2SC1815も、そうです)
と、計算されます。
この入力インピーダンス R の内、が、周波数によって変化するのです。
2.1より、 R は
R r
となります。
エミッタ電流
R
これが、最初に揚げたグラフです。
実測の値より、少し低いのは、ベース抵抗を考えてないからでしょうか?
[前節の1石広帯域増幅器では、エミッタに100の抵抗が入っているが、
エミッタは、コンデンサで接地されているので
交流的には、100考えなくてもよい。]
さて、
全体の入力インピーダンスは、
ベースの、バイアス電圧を与えるための抵抗R2,R3、を考慮して
となります。
つまり、 R より、もう少しだけ、小さくなります。
「44節、交直流負荷線、最適コレクタ電流」 に、書きましたように
で、与えられます。
[ 出典「増幅回路の考え方 改訂2版 砂沢 学著 オーム社 」 ]
逆に、最適コレクタ電流Icqが解っていれば
で、計算できますよね。
コレクタに、抵抗1本のみの場合
Ic=10mAと、すると
(直流負荷+交流負荷)=電源電圧 / 最適コレクタ電流=
直流負荷+交流負荷=1k
ですし、抵抗は1本だけですから
直流負荷=交流負荷=
Ic=10mAになるように、ベース電圧を決めます。
R1,R2に流れる電流をベース電流Ibの10倍位にして
こんなもんでしょうか。
VCEは、電源電圧の位になります。(最大出力が取れる位置に決まります)
ここで、入力インピーダンスを計算して置きましょう。(入力を7MHzと仮定して)
入力インピーダンス R
そして、7MHzでの電圧利得は
G=
と、計算されますが、実際は、どうなったでしょうか
7MHzにて、約35dBになりました。
まあ、近い値です。
ところがですね 、
信号源の内部インピーダンスを
入力インピーダンスR と、計算したものに合わせないで、低くすると(今、信号源のR
計算値にもっと近い、40dBになります。
これは、何でか、調べてみると
信号源の内部インピーダンスRを下げたほうが、ベースに加わる交流成分が大きくなるんですわ。
ベースにかかる交流成分は
1+
つまり、入力電圧のほとんどが、ベースにかかっています。
考えてみれば
こんな様子ですから、当然です。
ですので
電圧を増幅することだけを考える場合
VSWRが悪いことは、全く問題にならない
むしろ、増幅器に、最大の電圧を送り込むことを最優先する。
と、いうことになります。
コレクタ電流Icが1mAだったら、ゲイン40dBは、達成できないのでしょうか?
次回に考えてみます。
抵抗が2本とか、直流負荷と交流負荷が違う場合も考えてみたいと、思っています。
H15.01.30
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