$\vspace{1pt}$1石アンプ(入出力インピーダンス、最適負荷等)まとめ,その1

1.アンプの入力インピーダンスについて

前節の1石広帯域アンプについて、入力インピーダンスの測定結果を再掲します。

(測定は、HP 8712ETを使用)

matome1__2.gif
Ic=10mA

計算式を使って出したグラフは


matome1__3.gif
CE回路の、計算による入力インピーダンス(Ic=10mA)

似通った傾向を示しています。

2.入力インピーダンスの計算の仕方

2.1$\quad \beta $の周波数による変化

$\vspace{1pt}$

MATH

$\vspace{1pt}$

$\beta $ の、周波数 F による変化は、上式で与えられます。

MATH

MATH low frequency)

(出典 「Introduction To Radio Frequency Design, Wes Hayward 著」p.5)

又、

MATH

(原文は同著の MATH MATH

なる定義があります。

2SC1815 GR の例では

データシートより

MATH

MATH

なので

MATH MHz

又、MATH

MATH

matome1__20.gif
MATH

そして

MATH MHzより、十分大きい周波数Fでは(十分大きくなくても、よく一致するわ...)

$\vspace{1pt}$

MATH

で、計算してよい。(グラフが、上記の曲線と、ピタリと一致している)

2.2 入力インピーダンスの計算

エミッタ抵抗MATH

で、計算されますので

エピタキシャル、プレーナー型のTrの場合(2SC1815も、そうです)

入力インピーダンス RMATH

と、計算されます。

この入力インピーダンス R $_{in}\quad $の内、$\beta \quad $が、周波数によって変化するのです。

2.1より、 R $_{in}\quad $

R MATH $_{e}\quad $

となります。

エミッタ電流 MATH

R MATH


matome1__33.gif

これが、最初に揚げたグラフです。

実測の値より、少し低いのは、ベース抵抗を考えてないからでしょうか?

[前節の1石広帯域増幅器では、エミッタに100$\Omega $の抵抗が入っているが、

エミッタは、コンデンサで接地されているので

交流的には、100$\Omega \U{306f} $考えなくてもよい。]

さて、

全体の入力インピーダンスは、

MATH

ベースの、バイアス電圧を与えるための抵抗R2,R3、を考慮して

(R2 // R3) // R$_{in}$

となります。

つまり、 R $_{in}\quad $より、もう少しだけ、小さくなります。

3.出力インピーダンスの計算の仕方

「44節、交直流負荷線、最適コレクタ電流」 に、書きましたように

最適コレクタ電流は

電源電圧 / (直流負荷+交流負荷)

で、与えられます。

出典「増幅回路の考え方 改訂2版 砂沢 学著 オーム社

逆に、最適コレクタ電流Icqが解っていれば

(直流負荷+交流負荷)=電源電圧 / 最適コレクタ電流

で、計算できますよね。

3.1例1

MATH

コレクタに、抵抗1本のみの場合

Ic=10mAと、すると

(直流負荷+交流負荷)=電源電圧 / 最適コレクタ電流=MATH

直流負荷+交流負荷=1k$\Omega $

ですし、抵抗は1本だけですから

直流負荷=交流負荷=MATH

Ic=10mAになるように、ベース電圧を決めます。

R1,R2に流れる電流をベース電流Ibの10倍位にして

MATH

こんなもんでしょうか。

VCEは、電源電圧のMATH位になります。(最大出力が取れる位置に決まります)

ここで、入力インピーダンスを計算して置きましょう。(入力を7MHzと仮定して)

MATH

入力インピーダンス R MATH

そして、7MHzでの電圧利得は

G=MATH MATH

と、計算されますが、実際は、どうなったでしょうか

MATH

MATH

7MHzにて、約35dBになりました。

まあ、近い値です。

ところがですね

信号源の内部インピーダンスを

入力インピーダンスR $_{in}$と、計算したものに合わせないで、低くすると(今、信号源のR MATH

MATH

計算値にもっと近い、40dBになります。

これは、何でか、調べてみると

信号源の内部インピーダンスR$_{\U{ff53} }$を下げたほうが、ベースに加わる交流成分が大きくなるんですわ。

MATH

MATH

$\vspace{1pt}$

MATH

MATH

MATH

ベースにかかる交流成分は

1+MATH

つまり、入力電圧のほとんどが、ベースにかかっています。

考えてみれば

MATH

こんな様子ですから、当然です。

ですので

電圧を増幅することだけを考える場合

VSWRが悪いことは、全く問題にならない

むしろ、増幅器に、最大の電圧を送り込むことを最優先する。

と、いうことになります。

コレクタ電流Icが1mAだったら、ゲイン40dBは、達成できないのでしょうか?

次回に考えてみます。

抵抗が2本とか、直流負荷と交流負荷が違う場合も考えてみたいと、思っています。

H15.01.30

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