Hfe等、トランジスタの等価回路を調べている内に、
プッシュプル増幅回路のバイアスのかけ方がわかりました。
トランジスタは、可変抵抗になる事がわかりました。
つまり
これは、2SC1815のVCE-Icのデータシートですが、
今、ベース電流が1mAの曲線で見ると
VCE 1.5V --- Ic 100mA
3.5V --- Ic 120mA
ですから、
この傾きの逆数 コレクタ抵抗 rcは
rc = (3.5-1.5) / (0.12-0.1) = 100 Ω
です。
今度は ベース電流 0.5mAの曲線をみてみましょう。
VCEが変わってもIcの変化はわずかです。
VCE 1V --- Ic 60mA
4V --- Ic 70mA
ですから、コレクタ抵抗rcは
rc = (4-1) / (0.07-0.06) = 300Ω
以上のように、ベース電流の値によって、コレクタ抵抗rcの値も変わってきます。
どれくらいの変化があるかは
例として
交流的な小信号の出力アドミタンスhoeパラメータで見てみますと
yクラス2SC1815では、
0.8〜90uS位ですから、
小信号出力抵抗は、その逆数で
1.25MΩ〜11kΩ
となります。
(ここで、コレクタに負荷RLをつないだ時、Ic<3mAくらいでは、コレクタ抵抗は
負荷RLに比べて十分大きいから、<Ic=3mAでコレクタ抵抗=50KΩ>
殆どの電流はRLに流れると考えます。
等価回路では、コレクタ抵抗と負荷RLは並列になるから。
定電流回路がコレクタに入ると、そのインピーダンスは無限大だから
反対に、全てコレクタ抵抗に流れると考える)
勿論、直流時のコレクタ抵抗とは違っています。
(と、書いたのですが、どうも同じようです…汗..)
コレクタ抵抗を求めるには、アーリー電圧がわかりやすいです。
アーリー電圧とは、先ほどのVCE-Ic特性のデータシートで、出てきた直線を延長して
X軸と交わる点の電圧のことです。
この電圧Vaがわかれば、コレクタ抵抗rcは
rc = 儼CE / 僮c = Va +VCE / Ic
となり、アーリー電圧は100v位と大きいですから、VCEを無視して
rc = Va / Ic
と計算できます。
ですから、アーリー電圧Vaがわかれば、あるコレクタ電流Icの時の
コレクタ抵抗rcは、アーリー電圧を、そのコレクタ電流で割ればいいのです。
このrcがいったい、いくらの値の範囲を取るかは、まだわかっていません…
これで、トランジスタが可変抵抗になる事がわかりました。
ですから、バイアス回路の原理は下図になります。
今、R3,4の値を変えてやれば、Q1のベース電流が変わり、その結果
Q1のコレクタ抵抗が変化し、Q1は可変抵抗となって、VCEが変化するのです。
そして、このQ1は、プッシュプルのTrと熱結合させてやれば、プッシュプルのTrの
温度変化で、ベース電流が変化しても、このバイアス回路のQ1も同時に変化して
安定します。
Q1にはエミッタ抵抗reもあるのですが、この値は数Ω〜数十Ωなので、無視します。
R3,4に流す電流は、ベース電流より十分大きい値にします。