前の12節で、エミッタ接地増幅回路を調べました。

ベースに注入されたシグナルの電圧Vsと、それによるエミッタ電流の変化分Ieの関係は

 

Ie = gm * Vs

 

であり、エミッタ抵抗reを

 

re = 1 / gm

 

と置いたのですから

 

Ie = Vs / re

 

ですね。

これの等価回路は以下の図のようになると思います。

この図は、入力を電圧で見たものでは、ないでしょうか。

 

次に、

           Ie = Ic + Ib = βIb + Ib = (1+β)Ib

だったし、

           Ie = gm * Vs

の関係から、これを代入し

           gm * Vs =(1+β)Ib

から、入力抵抗Rinは,この式を変形して

           Rin = Vs / Ib = (1+β) / gm = (1+β) * re

でした。

これから、ベースに注入されたVsがRinの抵抗を介して

           Vs / Rin = Vs / (1+β)*re = gm * Vs / (1+β) =Ib [ Ie=gm*Vs, Ie=(1+β)Ib]だったから]

 

の大きさの電流が、エミッタに流れ込むと、電流で考えれば

という等価回路が考えられるのでは、ないでしょうか。

(私は、この等価回路は、こう言う意味ではないかと、解釈してるのですが…)

 

「トロ活」(トロイダル・コア活用百科)p.128にあった記述

 

「トランジスタの入力インピーダンスは、エピタキシャル・プレーナー型の場合 Rin

 =26β/Ie(mA)、「Ω」で表されることが知られており…」

(エピタキシャル・プレーナー型がなにかは、私は知りませんが)の意味がわかった

ような気がします。

 

つまり、先ほど

           Rin=(1+β)*re

の式を導き出しましたが、

ここで、第11節で定義しましたように

           re=1/gm

であり、

           gm=(q/KT)*Io

でしたから

           Rin=(1+β)*re=(1+β)/gm=(1+β)*(KT/q)/Io

ここで

           1+βは大体βに等しい(βが1よりだいぶ大きい)

           Kはボルツマン常数1.38e-23

           Tは常温27度での絶対温度=300

           qは単位電荷 1.60e-19

           Ioはバイアス時のエミッタ電流Ie

を代入してみると

           Rin=β*(1.38e-23*300/1.60e-19)/Ie

 

             = 25.87β/Ie =26β/Ie(mA)

 

と、「トロ活」の式が導き出されました。

なんとなく、うれしいです。

 

とにかく、入力抵抗Rinは、エミッタ抵抗reによって変わってくるという事になります。