エミッタ接地増幅回路での、エミッタ抵抗の入出力インピーダンスに及ぼす影響を
調べてみます。
まずは、出力インピーダンスに及ぼす影響についてです。
R5を外すのを、忘れてました〜〜(大ショック! 1年後に発見、すんません)
ですので、以降、出力インピーダンスについては、大間違いです。
本当は、ほぼR1の値10kΩに等しいです。(高域では、出力インピーダンスは、下がります。)
出力インピーダンスを調べるには、入力V1をゼロにして、出力端に交流の一定な電流Isを流します。
そして求めるインピーダンスは、Vout/Is で求めます。
(spiceによるトランジスタ回路の設計 岡村著 CQ出版社 p.19)
今、エミッタに挿入した抵抗を 0,300,2kΩに変化してみます。
そして、AC解析を実行します。
値が低い所を拡大しました。
交流負荷として、10kΩを設定していますが
エミッタ抵抗が
0Ωで 60Ω弱
300Ωで 280Ω位
2kΩで 5kΩ
尚、2kΩの赤のグラフで、fが大きくなると、インピーダンスが落ちるのは
Trのβが減少していくのと、結合コンデンサC2が10uF固定な為でしょう。
今まで、私は、負荷を抵抗で10kΩにすれば、どの周波数でも、又いかなるエミッタ抵抗値でも
10kΩと思っていたので、この結果は新鮮でした。(私だけか….)
入力インピーダンスについても、同じようなことが起こります。
「エミッタに抵抗を挿入する電流帰還は、入力インピーダンスを高める手法として有名…」
(トロイダルコア活用百科 p.144 CQ出版社)
これの測定法は、入力にAC源を入れて、AC解析を行います。
測定は2箇所です。
ひとつは、交流源から見た入力インピーダンス Vin/I(C1)
もうひとつは、Trのベースからみた入力インピーダンス Vin/Ib(Q1)
です。
まず、交流源からみたインピーダンス。
エミッタ抵抗値が2kΩと大きい時は、入力インピーダンスは、ベースにバイアスを与える
ために挿入した抵抗、R3,R4の並列の値にほぼ等しい。
エミッタ抵抗が0,300Ωの時、それぞれ70,370Ω位と、低くなります。
バイアスのためにベースに入れた抵抗があっても、入力インピーダンスは、すごく低くなります。
ですから、2sc1815等FTが低いTrで、50MHzの信号を増幅する時、増幅度、及びFTを上げる
ために、エミッタ抵抗を省略した場合、入力インピーダンスが、かなり低くなる事に
気を付けなければなりませんね。
次は、Trのベースでみた入力インピーダンスです。
これは、NFに大きく影響するらしいですよ。
これも、先ほどと似たような特性になりますが、ただ、オーダーが1桁大きく、270kΩ位
になります。
疑問点は、交流源でみたインピーダンスと、Trのベースでみた、それとは値が違うのですが
これでも、インピーダンスマッチングができていると、みなすのかと言う事です。
私の宿題がまた、ひとつ増えました…
1年以上経って、見直すと、
まだ、結果を書いているだけで、本質が見えていませんね…今も、そうだけど…(^_^;;
電圧増幅の場合、インピーダンスマッチがとれていない事は、問題になりませんね…
とにかく、
Trのエミッタに抵抗を挿入すると、入力インピーダンスを高める事ができます。
Zin=(
hfe + 1)*Re
もちろん、ベースにバイアスを与えるための抵抗が、影響するけど、これは、別問題です。
H.16.10.13 加筆