ディジタル信号処理超入門(インパルス応答、コンボリューション)

処理すべき信号が、アナログ信号である場合、

一般に、次の順序でディジタル信号処理されます。

MATH

(処理の途中の、アナログフィルタは、省いてあります。)

処理すべき信号が、最初からディジタルであれば、勿論、A/D変換は、不必要です。

1−1.ディジタル変換された、入力信号の表現の仕方

アナログ信号は、ある標本化周波数で、サンプリングされ、

離散的なディジタル信号に変わります。

(例1)

MATH

nは、時間を単位にするのが普通みたいですが、

別に、第何日にち、第何週とか、であっても、構いません。

ですので、

得られたデータは、順序付けされた、単なる数値の集合な訳です。

x(n)={...、-2、0、1、3、...}

てな具合です。

上記の例1では

x(−1)=−2、x(0)=0、x(1)=1、x(2)=3

です。

1−2.ディジタル化された入力信号を、インパルス関数$\delta (n)$で表現する

MATH関数とは、

n=0の時だけ、1という値をとり、その他の場合は 0という関数です。(nは整数です)

MATH

これを使えば

MATHn−2=0の時(n=2)だけ MATH

MATH MATHn−1=0の時(n=1)だけ MATH

「そんなもん、当たり前やんか」、と

言われそうですが、これが、x(n)を一般的に表現するのに、役にたつんです。

$\qquad x(n)=$ MATH

と、一般に表現されています。

MATHの時だけ、MATH

(*Lynn 「Introductory DIGITAL SIGNAL PROCESSING 」 p.33

一般式は、何を表しているのでしょう?

たぶん、

数列が、インパルスによって分解され、その総和が、入力の数列を表している。

数列が、インパルスの総和として表される所が、大事なのでは...

1−3.インパルス応答の種類

ディジタル信号処理の部分でも、インパルスに分解して、信号を処理しています。

Lynnさんは、上記書籍において、そのインパルス応答を、4種類に分類されて居られます。

(作図は、マイクロソフト社のエクセルの、グラフ作成機能を使ってますので

インパルスに、幅があるように見えますが、実際には、「幅がない!」と、見てくださいね。

MATH

MATH

最初のmemorylessは、入力に一回だけ、反応するもの。

これは、普通ですね、わかり易い。

その右のnoncausal

これは、n=−1の時にも、出力があるもの。

入力がないのに、出力がある!

所謂、非因果律的なもの。

下のunstable

これは、反応が、徐々に増大(発散)していくもの。

従って、unstable(不安定)

最後のcausal stable with memory

これは、反応が、発散してないのでstable(安定)で、

n<0で出力がないから、因果律に適う(causal)

メモリーが必要。

入力が一回きりで、系が、そんなに何回も、出力を出すものでしょうか?

これは、RC回路にインパルスを入力した時の、電圧の変化を見れば納得できます。

MATH

(拙作 22.RC回路をラプラス変換で解くと...から引用)

$\quad $

2. ディジタル コンボリューション(DIGITAL CONVOLUTION) って?

入力は、インパルスの総和で表現でき、信号処理回路の反応も、インパルスで表現できましたから

次は、入力と出力の関係を、インパルスから見ていきましょう。

以下は、系が線形の場合だけを考えます。(いまんところ、これしか考えられないですし、

参考文献の解説も、すべて線形の場合です、いまんところ...)

$\quad $

例2

MATH

上記の入力 x[n] があって、上記の信号処理回路の反応 h[n]があると、します。

$\quad $

n=−1の時、

初めて0でない入力 x[−1]=1が、信号処理回路に入ってきました。

入力が左側ですが、その右側の出力 y[−1]は

MATH

注意すべき所は

ディジタル信号処理の反応は、ゼロ(0)から始まっていることです。

これは、信号処理の系に入力があれば、すぐに反応すると意味です。

MATH

ここで、今、最初の入力は n=ー1の時でした。

ディジタル信号処理回路の、n=0とは、数字が違います。

ディジタル信号処理回路のn=0は、入力があれば、すぐに反応するという意味合いだと思います。

ここで、h[n]を、MATH表現すると

MATH

ただし

$\qquad \ $

MATH

これは、MATH

MATH

ですので

MATH

と、なります。

(要するに、ずれるんですね...)

この入力のn=−1と、信号処理の反応のnとを一致させるために、h[nー(−1)]を考えますと

MATH

と、h[n]を、ずらさねば、なりません。

そうすると、入力のnと、h[n]のnが一致します。

h[n+1]の意味は、nがー1の時、信号処理が開始されるという事だと、思います。

一致すると、出力は

MATH

と、表現できます。

こう表現できましたら、出力の一般式は

MATH

 

と、表現できます。

以下、同じように、入力x[n] を左側、それの出力を右側に書いて行きますと

x[k]=x[k] x MATH と書けますから

MATH

MATH

MATH

MATH

$\quad $

ここで、出力y[n]は、右側の出力を合計したものです。

各色は、各入力に対する、出力を表しています。(合計する前)


dsp2__61.png

これらを合計したものが、最終的な出力 y[n]です。


dsp2__62.png

こうして、nに対する各出力を合計して、y[n]を求めることを ディジタルコンボリューションと言うそうです。

他の書籍で調べましたら、同じ操作を、「たたみ込み」と書いてありました。

(私は、最初、「たたき込み」と勘違いしておりました、hi えらい違いや...

したがって、

たたみ込みコンボリューション

と、推定されます。

次回は、コンボリューションの一般的な形を、求めてみます。

(実は、まだ、はっきり解ってない...)

  

 

「フーリエの冒険 ヒッポファミリークラブ刊」届きました。

 

ヒッポのオリジナルで、英訳されて、米国の大学の教科書にもなったそうです。

 

SSB発生器製作の方は、チト、 お休みしております。

いまんところ、本探るのが、楽しいもんで...

H.15.5.16

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