AGCも考慮して、ユニポーラトランジスタ(FET)も、調べてみる事にしました。
今まで、キットでは、お目に掛かったけど、あんまし、考えた事がなかった...
AGCも、詳しい事、知りませんねん。
数理設計研究所、玉置様の所で、2SK192Aのスパイスモデルを入手しました。
実際に入手したのは、2SK193(Fランク)ですけど...
この2SK193は、yahooオークションで、aki_partsの、おばちゃん(ちゅうても、私より、多分、年下)が、
サービスで、付けてくれはったんですわ、おおきに。
2SK192Aのspiceモデルで、調べて行きましょう。
で、Id(ドレイン電流)が変化する事が解ります。
ドレイン電圧が、2.4V位(ピンチオフ電圧言うんやろか?)から上では、ドレイン電流が一定になり、飽和しています。
この飽和領域では、ドレイン電圧が変化しても、ドレイン電流が殆ど変化しない、
と、言う事は、電流の変化分dI(インピーダンスRは、変化しないとすると)
やから、分母のR(インピーダンス)が、むっちゃ大きい言うことに、なります。
この飽和領域以外の所では、ドレインのインピーダンスが変化するから、
増幅に使うと、ややこしゅうて、しゃあないから、使わないと、思います。
どんな、使い方すんのやろう?
ドレイン電圧で、ドレイン電流を変化させて、それをソースから取り出すんやろか?
ともかく、
飽和領域では、ドレイン電流を変化させるのは、ゲート電位ですから、わかりやすいですね。
試しに、
Id=12mA
この時の、ゲートソース間の電圧は、グラフより-0.6V。
今、ソース電位を2Vに設定すると、
12mAのソース電流が流れるから、
そして、今、0.1Vp-pの電圧を取り出すとすると
ドレインソース間のピンチオフ電圧2.5Vは、使えないから
トレインソース間の電圧は
2.5V+0.1V=2.6V
は、欲しい。
余裕を取って、3Vとする。(現実的ではないですが、練習の為)
結局、ドレイン電位は2+3=5Vと、なる。
ドレイン抵抗には、12mAの電流が流れるし、
この増幅器の増幅率を3倍と、すると
ドレインの所の抵抗は、167x3=498Ω位。
ここに、12mAの電流が流れるから
ドレイン抵抗での、電圧降下は
12mA x498Ω=5.98V=6V
そしたら、電源電圧は、結局
2V+3V+6V=11V
と、決まる。
12mAのドレイン電流を流すための、ゲートソース間電圧は、ー0.6Vでしたから
ゲートの電位は
2Vー0.6V=1.4V
これで、バイアス関係は、決まりました。
オペーレーションポイントを、spiceで計算してもらいました。
大体、OKですね。
このバイアス関係で、3倍のアンプが出来上がると思ったのですが、そうは、ならんかった...
2倍のアンプにしか、ならんのです...絶句。
3倍のアンプを作るのに、わざわざ、12mAも、流すのが間違いでしょうか?
同じようにして、ドレイン電流1mAで、3倍のアンプを組みました。
うーむ、Id=1mAにして、やっと、2.6倍位に、上昇しました。
これの原因なんですが、
私なりに考えると、
2SK192Aはが、低いので、
ゲート電圧の変化が、ドレイン電流に起こす変化が小さいので
高抵抗で受けないと、電圧変化が大きくならないのでは...実は、よく、解らん(T_T)
私のバイブルの一冊、「定本続トランジスタ回路の設計 鈴木正臣先生 CQ出版 p.61-62」に、よると
(何冊も、バイブル持つなっ、ちゅうのに...)
「この誤差の原因は、FET自体の利得(相互コンダクタンスgmと考えてもよい)が、あまり大きくないことに
関係します。...Vgsは常に一定(別の見方をするとgmが無限大)と考えましたが、実際の回路では
Vgsが常に一定ではないので(入力信号viによってちょっとだけ変化する)、このように計算値と測定値に
誤差が出てしまいます。」
うーむ、なんとなく、解ったような気が...
数理設計研究所で見つけた2SK192Aの、spiceモデルは、以下のとおりです。
.model 2SK192A NJF(beta=2.96m vto=-2.60 cgd= 1p cgs= 2p)
たった4つのパラメータ!!!
beta=gmの事
vto=スレショッルド電圧(ピンチオフ電圧と言うのか?このほうが庶民的でええわ。)
cgd=ゲートドレイン間容量
cgs=ゲートソース間容量
の、事です。
2SK193なんて、古い(らしい)データシートは、インターネット上では、見つかりませんでした...
手元に、'91最新高周波デバイス規格表CQ出版が、ありました。
これに出ていたデータは
「
用途:FMチューナー用。ラジオ、車載等のFMチューナーに最適
特徴:帰還容量Crssが小さいので、中和コンデンサを省略できる。
Idss2.50mS(typ)
Ciss5pF(typ)
Crss0.07pF(typ)」(以降、私は、Idss以外は、typの値を使いました)
ここで
Crss=cgd=0.07pF
Ciss=cgd+cgs
より
cgs=Ciss-cgd=5pF-0.07pF=4.93pF
と、考えました。
さて、IdssとVp(スレッショルド電圧)の関係なのですが
という、素晴らしい関係式を、見つけました。
原著者と、翻訳されて、公開されておられる方に、御礼申し上げます。
決して転載ではございませんので、ご容赦下さい。
とは、本来、固有の常数ですので、Vgsで微分できます。
従いまして
と、なります。
私の調べた2SK193(F区分)のは、テスターで調べると1.83mAでした。(まだ、一個しか、調べてません)
そして、
ですので、Idがゼロ(1μA位)になる時の、ゲートソース間の電圧を測定すれば
それが、Vpですし、
(まだ、そこまで、実験してませんねん..)
とにかく、Idss=1.83mAになるように、vto(Vp)を作ってしまいました。実験せな、あかんねんけど...
.model 2SK193f NJF(beta=2.3m vto=-0.9 cgd= 0.07p cgs= 4.93p)
ええ加減な所は、ご容赦下さい、あくまでも、個人的な実験でございます故 m(_)m
このモデルを元に、簡単なソース接地(ゼロバイアス)を作ってみました。
この結果を見ますと、入力インピーダンスが、50Ωの時、高い周波数まで、平坦です。
青線は、入力インピーダンスが1.5kΩ(セラミックフィルタの出力インピーダンスでした)の時のもの。
わけが解らないけど、これは、おもしろい!
早速作ってみました。
〔入力は -20dBm]
緑:上の回路(ソース接地回路)の結果、400MHzまで、行けます。
黄:同FETで、ソースフォロアも、作ってみたら、こっちのほうが、結果が悪い(回路設計が悪いのか...)
続く...
H.16.9.25