JFETは、どんなん?

1.中間周波増幅段のデバイスは?

 

AGCも考慮して、ユニポーラトランジスタ(FET)も、調べてみる事にしました。

今まで、キットでは、お目に掛かったけど、あんまし、考えた事がなかった...

AGCも、詳しい事、知りませんねん。

2-1.2SK192Aを調べる

数理設計研究所、玉置様の所で、2SK192Aのスパイスモデルを入手しました。

実際に入手したのは、2SK193(Fランク)ですけど...

 

この2SK193は、yahooオークションで、aki_partsの、おばちゃん(ちゅうても、私より、多分、年下)が、

サービスで、付けてくれはったんですわ、おおきに。

 

2SK192Aのspiceモデルで、調べて行きましょう。

MATH

MATH

$V_{GS}$で、Id(ドレイン電流)が変化する事が解ります。

MATH

ドレイン電圧が、2.4V位(ピンチオフ電圧言うんやろか?)から上では、ドレイン電流が一定になり、飽和しています。

 

この飽和領域では、ドレイン電圧が変化しても、ドレイン電流が殆ど変化しない、

と、言う事は、電流の変化分dI(インピーダンスRは、変化しないとすると)

 

    dI=dV/R

やから、分母のR(インピーダンス)が、むっちゃ大きい言うことに、なります。

 

この飽和領域以外の所では、ドレインのインピーダンスが変化するから、

増幅に使うと、ややこしゅうて、しゃあないから、使わないと、思います。

 

どんな、使い方すんのやろう

ドレイン電圧で、ドレイン電流を変化させて、それをソースから取り出すんやろか?

ともかく、

飽和領域では、ドレイン電流を変化させるのは、ゲート電位ですから、わかりやすいですね。

2-2.2SK192Aで、ソース接地回路のバイアスを計算する

試しに、

Id=12mA

この時の、ゲートソース間の電圧は、グラフより-0.6V。

今、ソース電位を2Vに設定すると、

12mAのソース電流が流れるから、

MATH

MATH

そして、今、0.1Vp-pの電圧を取り出すとすると

ドレインソース間のピンチオフ電圧2.5Vは、使えないから

トレインソース間の電圧は

2.5V+0.1V=2.6V

は、欲しい。

 

余裕を取って、3Vとする。(現実的ではないですが、練習の為)

 

結局、ドレイン電位は2+3=5Vと、なる。

 

ドレイン抵抗には、12mAの電流が流れるし、

この増幅器の増幅率を3倍と、すると

ドレインの所の抵抗は、167x3=498Ω位。

ここに、12mAの電流が流れるから

 

ドレイン抵抗での、電圧降下は

 

12mA x498Ω=5.98V=6V

そしたら、電源電圧は、結局

2V+3V+6V=11V

と、決まる。

12mAのドレイン電流を流すための、ゲートソース間電圧は、ー0.6Vでしたから

ゲートの電位は

2Vー0.6V=1.4V

MATH

$\vspace{1pt}$

これで、バイアス関係は、決まりました。

オペーレーションポイントを、spiceで計算してもらいました。

MATH

大体、OKですね。

 

2-3.増幅回路を作ってみると、えらいこっちゃ!3倍のアンプにならん!

 

このバイアス関係で、3倍のアンプが出来上がると思ったのですが、そうは、ならんかった...

 

2倍のアンプにしか、ならんのです...絶句。

3倍のアンプを作るのに、わざわざ、12mAも、流すのが間違いでしょうか?

同じようにして、ドレイン電流1mAで、3倍のアンプを組みました。

うーむ、Id=1mAにして、やっと、2.6倍位に、上昇しました。

これの原因なんですが、

私なりに考えると、

2SK192Aは$g_{m}$が、低いので、

ゲート電圧の変化が、ドレイン電流に起こす変化が小さいので

高抵抗で受けないと、電圧変化が大きくならないのでは...実は、よく、解らん(T_T)

私のバイブルの一冊、「定本続トランジスタ回路の設計    鈴木正臣先生 CQ出版 p.61-62」に、よると

(何冊も、バイブル持つなっ、ちゅうのに...)

「この誤差の原因は、FET自体の利得(相互コンダクタンスgmと考えてもよい)が、あまり大きくないことに

関係します。...Vgsは常に一定(別の見方をするとgmが無限大)と考えましたが、実際の回路では

Vgsが常に一定ではないので(入力信号viによってちょっとだけ変化する)、このように計算値と測定値に

誤差が出てしまいます。」

うーむ、なんとなく、解ったような気が...

3.2SK193のspiceモデルを作ってみる(超ええ加減ですけど)

数理設計研究所で見つけた2SK192Aの、spiceモデルは、以下のとおりです。

.model 2SK192A NJF(beta=2.96m vto=-2.60 cgd= 1p cgs= 2p)

たった4つのパラメータ!!!

beta=gmの事

vto=スレショッルド電圧(ピンチオフ電圧と言うのか?このほうが庶民的でええわ。)

cgd=ゲートドレイン間容量

cgs=ゲートソース間容量

の、事です。

2SK193なんて、古い(らしい)データシートは、インターネット上では、見つかりませんでした...

手元に、'91最新高周波デバイス規格表CQ出版が、ありました。

これに出ていたデータは

用途:FMチューナー用。ラジオ、車載等のFMチューナーに最適

特徴:帰還容量Crssが小さいので、中和コンデンサを省略できる。

Idss2.50mS(typ)

Ciss5pF(typ)

Crss0.07pF(typ)(以降、私は、Idss以外は、typの値を使いました)

ここで

Crsscgd0.07pF

Cisscgdcgs

より

cgsCisscgd=5pF0.07pF4.93pF

と、考えました。

さて、IdssとVp(スレッショルド電圧)の関係なのですが

MATH

という、素晴らしい関係式を、見つけました。

The Site of FET Sound

原著者と、翻訳されて、公開されておられる方に、御礼申し上げます。

決して転載ではございませんので、ご容赦下さい。

$I_{DSS}$$V_{p}$は、本来、固有の常数ですので、Vgsで微分できます。

$\vspace{1pt}$

MATH

従いまして

MATH

と、なります。

 

私の調べた2SK193(F区分)の$I_{DSS}$は、テスターで調べると1.83mAでした。(まだ、一個しか、調べてません)

そして、

上記の規格表にあったgm=MATHは、全て、$V_{GS}=0$の時のものでした。

ですので、Idがゼロ(1μA位)になる時の、ゲートソース間の電圧を測定すれば

それが、Vpですし、

先ほどの式から$V_{GS}=0$の時のgmはMATHから予測できると、思われます。

(まだ、そこまで、実験してませんねん..)

とにかく、Idss=1.83mAになるように、vto(Vp)を作ってしまいました。実験せな、あかんねんけど...

.model 2SK193f NJF(beta=2.3m vto=-0.9 cgd= 0.07p cgs= 4.93p)

ええ加減な所は、ご容赦下さい、あくまでも、個人的な実験でございます故 m(_)m

MATH

MATH

$\vspace{1pt}$

このモデルを元に、簡単なソース接地(ゼロバイアス)を作ってみました。

MATH

MATH

この結果を見ますと、入力インピーダンスが、50Ωの時、高い周波数まで、平坦です。

青線は、入力インピーダンスが1.5kΩ(セラミックフィルタの出力インピーダンスでした)の時のもの。

わけが解らないけど、これは、おもしろい!

早速作ってみました。

 

〔入力は -20dBm]

MATH

緑:上の回路(ソース接地回路)の結果、400MHzまで、行けます。

黄:同FETで、ソースフォロアも、作ってみたら、こっちのほうが、結果が悪い(回路設計が悪いのか...)

続く...

H.16.9.25