FETソースフォロアでプローブ その3
1.FFTの使い方を誤ると...
FFTを正しく使わないと、とんでもない結果がでます。
例えば
この回路を、単純に、FFTをすると、とんでもない結果が出ます。
FFTが正しい結果を出すには、工夫が要ります。
私のリンク先、Rivieraさんの ベルが鳴っています の FFT を利用した歪の評価 をご覧下さい。
Rivieraさん、どうもありがとうございます。
「いい加減に FFT を行うと正弦波信号源の高調波が大きく見えてしまってどうしようもありません。
普通に電圧比 -30dB くらいにも見えてしまいます。......」なのです。
ここは、よく読んで、おまじないみたいに、こう書きましょう。
の所は、
Transientの設定で、以下のようにすると、自然に、そうなります。
よく解らないけど、うまく、FFTできます。再度御礼申し上げます。
1-2. 50MHzまでなら...
こういう使い方も、OKです。
信号の下、50〜60dBあたりに、ゴースト(元にないもの)が、出るときがありますが、無視しましょう。
勿論、高調波は、まったく、当てになりません。
2.正しいFFT結果
前節の回路を、おまじないを使ってFFTしてみましょう。
入力0.2Vp(EMF)のFFT結果は
基本波と2次高調波の差は、-35dBである事がわかります。
以下、同じようにシミュレートしてみました。
シミュレーション 結果 | ( 実測 ではない)||||||
信号 | 源 インピーダンス=50Ωとして||||||
Vp(EMF) | matched Vp | Vrms | mW | dBm | プローブ 読 dBm( 理論値 ) | 取 値2 次 波 の 基本 波 との 差 | 高 調
1 | 0.5 | 0.354 | 2.5000 | 4.0 | -4.5 | 18dB |
0.4 | 0.2 | 0.141 | 0.4000 | -4.0 | -12.5 | 28dB |
0.3 | 0.15 | 0.106 | 0.2250 | -6.5 | -15.0 | 31dB |
0.2 | 0.1 | 0.071 | 0.1000 | -10.0 | -18.5 | 35dB |
0.1 | 0.05 | 0.035 | 0.0250 | -16.0 | -24.5 | 41dB |
0.05 | 0.025 | 0.018 | 0.0063 | -22.0 | -30.5 | 47dB |
0.02 | 0.01 | 0.007 | 0.0010 | -30.0 | -38.5 | 55dB |
0.01 | 0.005 | 0.004 | 0.0003 | -36.0 | -44.5 | 61dB |
プローブ 読 | 取 値 dBm( 理論値 )は||||||
FETプローブによる 減衰 | =8.5dB( 実測 )を 考慮 して 計算 した。||||||
残念 調 波 とはならない | ながら、40dB 確保 しても、 正 しい2 次 高
(EXCELから移しましたが、醜くて恐縮です。)
2次高調波を観測する場合
例えば、SGとスペアナを直結して、以下のスペクトラムになったとします。
このSGを50Ωでターミネートして、FETプローブすると
大体計算値と合っています。
FETプローブで読み取り値-32dBの時、
理論的には、基本波と2次高調波との差は、約50dBまで測れますから
SG-スペアナ直結の、基本波 ー 2次高調波の差が、今の場合、40dBですから
FETプローブを通して観察しても
まあ、何ちゅうか.....大体合っています.... (T_T) 涙...
これが、基本波ー2次高調波の差が、50dB以上あるSGを測る場合、
FETプローブを通すと、正しい計測は、できません。
この辺が、要注意です....
それから、基本波を測定した時、ひずむのは、何dBからなのか?
実測してみました。
基本 波 測定 時 の 歪 (これは 実測 による。 負荷 50Ω) | ||
入力 | dBμ(EMF)FETプローブ 読 | み 取 値|
110 | -11.5 | |
111 | -10.6 | |
112 | -9.6 | |
113 | -8.6 | |
114 | -7.6 | |
115 | -6.7 | |
116 | -5.7 | |
117 | -4.8 | |
118 | -3.9 | |
119 | -3.1 | |
120 | -2.3 | |
121 | -1.6 | |
122 | -1.1 |
これから、FETプローブ読取値が、-5dBm以下であれば、直線性が保たれる事が解ります。
しかし、プローブでの実測値が、-60〜-70dBmあたりになると、測定値が不安定になります。(微妙に揺れ動いています。)
ちゅうか、-70dBmあたりになると、+−1dBmの変動で、揺れ動いています、超不安定。
ですので、この辺に来ると、最大2dBの変動があります。
道理で、測定の度に、値が違う訳ですね....
と、思ったのですが、
2,3,4次等、高調波単独を観測すると、-70dBmあたりでも、安定しておりました。(最大で +-0.2dB位の変動のみ)
ちゅうことは
基本波と、その高調波を、同時に観測する時は
プローブの出す高調波と、SGの出す高調波が、互いに干渉していると、
言う事になるのでしょうか....混変調みたいな感じ。
車で言うと、エンジンが、ノックしてたような、感じです。
「,3,4次等、高調波単独を観測する」としても、干渉してる事は、同じですもんね...単独観察は、意味なし。
これは、もしかして、SGが安定してなかったからか?...今は、安定して見れる...(T_T)
原因が、よう、解らん...すんません 、今は、安定して(最大で +-0.2dB位の変動のみ)見れます。
何かと、制約の多いプローブですが、200MHz辺りまで、無理なく測れますので、
あると、やはり、便利です。
もっと、ドレイン電流が多く採れる2SK241GRを使うとか、
フィードバックを入れるとか(やってみたけど、減衰が多すぎて、何してるこっちゃ状態!)
改良の余地が、大いにあります。
今後の課題です。
H.16.11.12
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