$\vspace{1pt}$Z変換超入門 その1

今までは、時間軸についての考察でした。

Z変換なるものを使うと、周波数軸についての考察が、可能になります。

と、言うても、判りにくい(私にとって...)ので、

まずは、具体的に見ていきましょう。

1.Z変換の定義

ディジタル信号をx[n]として

MATH

このX[z]を、x[n]のZ変換と言います。

MATHでまとめちゃうと、簡潔できれいなんですが

具体的に考えると

ディジタル信号の各x[n]に、$z^{-n}$をくっ付けただけのものです。

ですので

$\vspace{1pt}$

MATH

の信号があると、z変換は

MATH

MATH

となります。

反対に 、z変換の無限級数が

MATH

と表されていたとすると、

この$X[z]$を級数展開すると (これは、計算エンジンにやってもらいました。)

MATH

と、なるので

ここから、元の信号x[n]は

MATH

と、わかります。

MATH同様に

MATH

MATH

で、Z変換が定義されています。

2.Z変換すると、どんな良い事が?

1.シグナルと、その解析を周波数軸(フリケンシードメイン)で、考えることができる。

2.1つの$\U{ff5a} ^{-1}$は、サンプリング周期の1タイムシフトに相当する。

1.については、後ほど、例で考えてみましょう。

2.については

(引用 *三谷 「信号解析のための数学」p.51 森北出版

まず、アナログ信号f(t)を、サンプリング周期がT秒のディジタル信号$f^{\ast }(t)$に変換すると

(t<0に於いて f(t)=0と仮定すると)

MATH

となり、

更に、デルタ関数$\delta $で表現すると、ディジタル信号$f^{\ast }(t)$

(以前、x[n]の一般式をMATHと、置いたことと、似てますね。)

MATH

MATHただしMATH

と、表現されます。

MATHな、訳です。]

ラプラス変換では

MATHのラプラス変換は 1」

「T秒の遅れは$e^{-sT}$を掛けることに等しい」

と、言うのが、ありました、よくわからんけれども...

ですので、上記のディジタル信号$f^{\ast }(t)$を、ラプラス変換すると

MATH

MATH

MATH

と、言う具合に、変換されちゃう訳です、きれいやなあ...

ここで

MATH

と言う置き換えをすると、

上の(2)式は

MATH

と書くことができます。

これは、ディジタル信号のZ変換の式、そのものです。

1サンプリング時間の遅れに相当する$e^{-sT}$を、$z^{-1}$に置き換えた!

そやから

Z変換は、ラプラス変換そのものやっ!

(「ラプラス変換そのもの」が、よう、解っとりませんが...(^_^;;

それで、

MATH

を代入すると、周波数特性が解る訳ですねっ。

(アナログの時に、ラプラスのsに、s=j$\omega $を代入すると、周波数特性が出たように...)

三谷先生、ありがとうございます。

(アナログを調べていた時、Haywardさんの「Intorduction To Radio Frequency Design」に、出逢った時のように、

親切やっ! ほんまに、......ありがとうございます。)

3.周波数軸で考えてみましょう

前節で、移動平均が、ローパスフィルターの働きをする事が、わかりました。

その事を調べてみましょう。

移動平均数が、5つの時、

MATH

この$h_{n}$を、Z変換すると

$\qquad \quad $

MATH

MATH

(hの係数に、z$^{-\U{ff4b} }$掛けるだけで、できあがります。)

この$H(z)$が、実は、伝達関数になってます。(これは、後ほど...)

周波数特性を見るためには、先ほどの

MATH

の、変換を行います。

ここで、サンプリング周期Tを1秒と仮定し(T=1)、s=j$\omega $を代入すると

H(z)の式は、変数が$\omega $となって

MATH

振幅の周波数特性を求めるには

$\qquad \quad $

MATH

を、計算すれば、よいのです。

グラフを、計算エンジンに書いてもらいますと

MATH

dsp6__52.gif
x軸の単位は、ラジアン(rad)

$\U{ff12} \pi $ラジアン毎に、特性が繰り返されます。

x軸が0から2MATHの範囲に限局し、log表示しますと

MATH
dsp6__56.gif

極を持った、ローパスフィルタである事が、わかります。

極の数は移動平均数に一致しています。

ここで、移動平均数を20にすると、

伝達関数 $H_{2}(\omega )$

MATH

$\vspace{1pt}\quad $

MATH

$\vspace{1pt}\quad $

MATH


dsp6__65.gif
赤は移動平均数が5のH($\omega $)、緑が移動平均数20の$H_{2}(\omega )$

このようなグラフになり、

移動平均数を増やすと、振幅特性が、より鋭いローパスフィルタになる事が、わかります。

極の数は、やはり、移動平均数と一致しています。

H.15.6.11

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