回路図をチラッと眺めただけで...(等価回路)

1.回路図をチラッと眺めただけで...

「エミッタ接地回路の入力抵抗は、回路図をチラッと眺めただけで、見当がつけられます。」

(「はじめてのトランジスタ回路設計」黒田徹先生著CQ出版社p.46)

なんちゅう、魅力的な、お言葉でしょう...

「私は貝になりたい...」、じゃあ、なくて、「私も、そうなりた~い...」

一石のTRでも、まだ、理解できてないんですが、

これを、機会に、等価回路で、回路の本質の切れ端、でも理解できたら、と、思い立ちました。

以前の節にも、等価回路云々と、書いた気がするのですが、

チラッと眺めただけでは、とても、見当はつけられません現状です。

2.例1

MATH

この回路は、私のバイブルの一冊、

「定本トランジスタ回路の設計鈴木正臣先生CQ出版社」に出てくる、最初のエミッタ接地回路です。

何かを調べる時、やはり、結果がわかっているものを、例に上げたほうが、理解しやすい。

2-1.直流のバイアス関係は?

ざっと、目分量で、大まかに行きましょう。

ベース電位は15xMATH(ベースのバイアス抵抗に流れる電流は、ベース電流の10倍以上のはずやから)

(きちっと割り切れるように、最初から、バイアス抵抗を、設定しています。)

ほな、エミッタの電位は、2.6-0.6=2V

ちゅうことは、エミッタ抵抗にMATH流れる。

そしたら、コレクタ電位は151mAx10kΩ=5V。

Ic=Ie=1mA

Ib=MATH

バイアス抵抗R2に流れる電流は

MATH

やから、ベース電流より充分大きい電流が流れてます。

この回路は、電流帰還バイアス回路と言うそうですが、何故か?

これは、等価回路で、解ってきます、後ほど。

2-2.入力インピーダンスは、なんぼか?

これは

(R1//R2)//(Trの入力インピーダンス)

です。

ほな、Trの入力インピーダンスは、なんぼか?

凡そ

MATH

なんでか?

等価回路でみると、そうなります、後ほど。

Trの入力インピーダンスが、今の場合、大きいので

結局、入力インピーダンスは

R1//R2

に、大体、等しいlことになります。

2-3.出力インピーダンスは、なんぼか?

コレクタ抵抗R4に等しくなります。

なんでか....

MATH

MATH

C-E間の電圧を、能動領域で使う限り、

Icは、殆ど一定なので、

Trの出力インピーダンスは、すごく大きいから無視できる。(これも、等価回路をみると、よく解る。)

こんな風に、等価回路を理解できたら

Trの入力インピーダンスは、

Ic(=Ie)に反比例し、$\beta $に比例することが理解できます。(「理解」と、「使いこなせる」とは、別物です)

シミュレーション結果を待つ前に、少し解りますよね。

今まで、皆目見当がつかなかったんです....

チラッと見たくらいでは、とても解りませんが、5~10分くらい時間もらったら、なんとか...

一石の回路を、卒業できるのは、いったい、何時なんでしょうね...

と、焦らないことにしましょう (と、自分に言い聞かせる。)(^_^)

3.ベース接地1段増幅器の等価回路

先ほどと、直流的なバイアス関係は、全く同じです。

MATH

エミッタから、信号源をいれてやります。

MATH

あれれ...出力が、大きくクリップしています...

なんでで、しょう?

入力の大きさも同じなのに....

これを、調べて行きましょう。

3-2.等価回路に書き換えましょう

ここから先は、お手本がありませんでしたので

自分で考えましょう。

勿論、間違いがあると、思います、勘弁して...教えて下さい....

等価回路にするためには

カップリングコンデンサを失くす。

電源はグラウンドに繋いだと同じ

です。

ベース接地ですから、ベースを下にします。

MATH

$\qquad $a*ieと、書いているのは$\alpha i_{e}$のつもりです。

等価回路の考え方は、

黒田先生の、先ほどの本と、それから

「増幅回路の考え方改定2版砂沢学先生著オーム社」を、基本としています。

すっごく、いい本です。買ってから、10年ほど経って、やっと、そのことに、気づきました。

ありがとうございます。

ベース接地回路から、入っているのは、砂沢先生の御著書が、ベース接地回路から、入っているからです。

後に、ベース接地回路から、エミッタ接地回路への展開が、書いてあります、超オススメ。

3-2.計算してみましょう

うっ、計算の仕方、忘れた...

調べときます、すんません。

失礼いたしました、再開します。

MATH

ここで

$i_{e}=i_{c}+i_{b}$

の、関係があり、

ここから、ibを消去するわけです。

すると

エミッタの所の電位が、Viですから

MATH

MATH

です。

そうすると、これは、

ieの電流と、reと、(1-α)xrbの抵抗の直列回路と、見ることができます。

icは、負荷に一定の電流を流す働きだけです。

MATH

$\vspace{1pt}$

結果として、

MATH

ですから

Tr内部での入力インピーダンスは

$\vspace{1pt}$

MATH

ちゅうことに、なりますよね。

ですので、

SGから見た、入力インピーダンスは

MATH

ですよね。

今の場合、Reは、kΩオーダーで、大きいし

(1-α)は、充分小さいから

上式は、近似的に

$\simeq r_{e}$

と、なりませんやろか?

そうやったら、

MATH

と、なります。(自信なし)

それから、

VCEを能動領域で使っている限り、Icは定電流ですので、rcは非常に大きいですから

コレクタ電流は、殆どが、負荷RLに流れますから

この回路の増幅率は

MATH

そら、飽和しますわ...納得。

H.16.12.2