以前(28.実際にButterworth特性のローパスフィルタを計算する)に、逆正規化して、実際の回路のL.、Cの値を求めました。
ここで、
回路要素のL,Cに、qというものを導入すると、もっと見通しがよくなります。
Lで考えると
同じ定義を、正規化された(回路について考えて
回路の最初の値L=に、信号源の内部抵抗が直列になっている場合
という値を定義します。
これは、コイルに抵抗Rが直列に入ったQの定義、そのものです。
上記の回路の場合、信号源の内部抵抗 ですから
しかし、必ずしも、負荷、信号源の内部抵抗は1ではない。
(このQの値は、実は近似式です。Introduction to Radio Frequency Design p.55 eq.2.6.5)
よって
これも、コイルに抵抗Rが並列に入ったQの定義、そのものです。(直列の逆)
Cで考えると
(1),(2),(3),(4)式を、表にまとめると
リアクタンスで書くと、もっと解りやすい。
逆正規化する時、上記の表の値 が、変化しないように、L,Cの値を変化させます。
例
3rd order LowPass Butterworthの正規化されたは、今は、Lで1.000Hです。
もし、信号源抵抗R= で、カットオフ周波数が15MHzに逆正規化 すると
逆正規化は、全てカットオフ周波数で行うことに注意
上記の表1のが変化しないように、Lの値を決めます。
今、Lは信号源抵抗と直列 ですから
(正規化されている側)
この値が変化しないようにLの値を求めると
2番目の素子 は、これと同様に考えます。
赤線を引いた左側の合成インピーダンスに対して
は、並列で、今の場合Cですから
表1のCで並列のqを参照します。
(正規化されている側)
この値が変わらないように、Cの値を決めてやります。
は、Lであって、負荷抵抗との関係で決めます。
負荷抵抗と直列ですから
(正規化されている側)
だから
今、1対の隣り合ったCとLの関係を調べるために
g1と負荷抵抗を切り取った回路を調べる。
この時の各素子に流れる電流の、周波数による変化です。
赤(電源の電流)がディップしている所が、共振点()です。
縦の白い破線が、normalizeされたの線です。
normalizeされた時の、各素子の電流の関係は
赤Isが信号源から流れる電流ですが
Cに流れる電流Ig2より、小さな値で、位相差があるために、こうなっています。
Ig2とIg3をベクトル的に合成すれば、辻褄は合っています。
次に、この回路で、トランジェント解析します。
ここから、
Lに流れる電流Ig3は約0.692A(peak)
Cにかかる電圧Vg2は約0.703V(peak)
と、読み取れます。
そして、
Lに蓄えられるエネルギーは
Cに蓄えられるエネルギーは
ですので、その比
となります。
実は、これが
と一致するのです。
注 「私の説明では苦しいので、参照ください Introduction to Radio Frequency Design p.85」
そして、をこの回路の、normalizeされた共振周波数とすると
ですから
LとCが蓄えるエネルギーの比は、共振周波数の2乗と一致します。
そして、こののルートをとったものをnormalized coupling coefficient と言います。
(と言う事は、normalizeされた、2つの素子の共振周波数そのもの)
結局、Lに蓄えられるエネルギーは
倍される訳ですから、今の場合
Cに蓄えられるエネルギーの倍と計算できます。
上記の3pole Lowpass Butterworthを例にとると
ですから
Cに蓄えられるエネルギーは
に蓄えられるエネルギーの 倍
に宅割られるエネルギーは
Cに蓄えられるエネルギーの 倍
これは、元()から、いけば
に蓄えられるエネルギーの倍
ですので、全体の比は
この順番にロスする訳ではないのですが、比率がこうなるという訳です。
回路のロスは、もっぱらコイル、コンデンサーの内部抵抗等のせいだと、思います。
一般に、n番目とn+1番目の素子の間には,次の関係が成り立つそうです...
狭帯域のBPFの時に、カップリングコンデンサーの値を決定します。
しかし、まだ、実感として、しっかりと解ったわけではありません。
お疲れ様でした...
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