整合は、必ず必要というわけではない

私だけかも知れませんが、誤解しやすいので、メモります。

前回、抵抗だけになった回路において

回路の最大出力は、内部抵抗=負荷抵抗

の時と書きました。

これは、その通りだと思うのですが、誤解を招きやすいです.


filter_5__1.png

内部抵抗1$\Omega $の定電圧源Vがあるとする。

この時、出力$P_{out}$

MATH

$R_{s}$が一定のとき、$P_{out}$が最大になるのは、$R_{L}=R_{s}$の時です。

$R_{s}\U{ff1d} 1$だから、$P_{out}$のグラフは

MATH
filter_5__11.png

となり、$R_{L}=R_{s}=1$だから、$P_{out}$は最大の25ワット出力になる。

入力は、

MATH watt

だから、入力の半分が、取り出せたことになります。

そこで

一般に

MATH MATH

ですから、元の入力と、出力の比は

MATH $\div $ MATH

MATH

MATH(負荷抵抗/全抵抗)

と表されます。

整合していると、すると

MATH

これは、いいのですが、

MATHとして

MATHのグラフを描くと
filter_5__25.png

あれれ???

一晩考えました (^_^;;

負荷$R_{L}$が大きければ、大きいほど、その比が1に近づくのです。

$R_{L}=9\Omega $だとすると

MATH

入力の9割が、出力として、取り出せているのです???

ですから、

「取り出せる最大出力は、入力の$\dfrac{1}{2}$を越えない」

に反しますよね。

そんで、


filter_5__30.png

この回路で、数値を計算してみました。

入力電力は

MATH

MATH watt

これで、解りました。

内部抵抗1$\Omega $の10V、定電圧源の最大放出エネルギーは50ワットで

今の場合(負荷9$\Omega $)、入力電力は10ワットでよいのだから

負荷の抵抗値が大きくなると(負荷が軽くなると)

電圧源は、その最大のエネルギーを放出しない。

その入出力の比は、50%を越えて100%に近づく。

決して、その電圧源から、目いっぱい取り出した訳ではない。

そやから、

ある一定の内部抵抗をもつ定電圧源の電力を

最大限取り出すには、

負荷を、内部抵抗と等しくすればよい

 

ああ、ややこしい。

「取り出せる最大出力は、入力の$\dfrac{1}{2}$を越えない」

は間違いで

「取り出せる最大出力は、最大入力の $\dfrac{1}{2}$を越えない」

が正しいと思います。

エネルギーの伝達って、そうなんや、ぶつぶつ...

それから

内部抵抗 $Rs$の値によっても、取り出せる出力の大きさが変わってきます。

負荷が一定で、内部抵抗$R_{s}$が変化する場合を考えてみましょう。

負荷$R_{L}=\U{ff11} $で一定とし、$V_{in}$も一定とします。

MATHのグラフ

filter_5__42.png
負荷は1で一定、内部抵抗を変化させた時

ご覧のように、

負荷が1で一定のとき、

内部抵抗が1の時、整合しているのに拘らず

内部抵抗が0.5で、整合していないときよりも

出力は小さいです。

出力(Rs=0.5、不整合)>出力(Rs=1、整合)

ですから、

出力を大きくとるためには

定電源の内部抵抗を小さくして、しかも整合をとる

のが、ベストだと思うんですが...

 

直流の定電圧電源(内部抵抗は、すごく小さい)を電圧源とする時

負荷を重くすると(負荷抵抗値を小さくすると)、不整合でも

大きな出力を取れる(電源の定格内で)ことになります。

当たり前でしたか...

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