わかったようで、わからない負帰還 その1

負帰還をかけると

1.増幅度が安定する

2.周波数特性がよくなる

3.歪の改善

と、魅力的な言葉が並んでいます。

感覚的には、少し分かるような気がするのですが、イマイチ分からない...

この辺を探ってみます。

1.まずは、身近なところから

MATH

エミッタに、抵抗を挿入する方法です。

電流帰還バイアス回路、と言う名前が付いています。

エミッタの電位Viは

MATH

と、表されます。

信号電圧 Vi に、出力電流 ie に比例した帰還電圧 Rf ie が、元の信号電圧 Vbe に加えられた形をしています。

帰還とは、元の信号に、なんらかの操作をすること、のようです。

帰還の無い($R_{F}$=0)時の、電圧増幅率 Avo

AvoMATHはエミッタ抵抗)

ところが、このエミッタ抵抗 MATH

MATH

と表されるので、エミッタ電流 $I_{E}\quad $に左右されるし、 温度にも影響を受けます。

エミッタに抵抗 RFを挿入した時 (大概、MATHに取るので)

AvoMATH

となり、

電圧増幅率が、外部抵抗だけで決定されます。(温度の影響も受けにくい)

1.増幅度が安定する

を満足します、なるほど...

2.周波数特性がよくなる

は、ゲインは下がるのですが、ゲインが一定の所が広がるようです。(不正確)

3.歪の改善

は、

「入力電圧と、エミッタ電流の関係を表す曲線の傾斜が、緩やかになり歪が改善される」

と、あります。

(「増幅回路の考え方 改訂2版 砂沢 著」p.80

出力インピーダンスは $\approx \quad $RL

入力インピーダンスは MATH

で、表されましたから、

この方法で、入力インピーダンスを高めることができます。

どうも、

電圧帰還は、入力インピーダンスを高め、電流帰還は、入力インピーダンスを低くする作用があるようです。

「この相反する二つの性質を同時に使用すると、入、出力インピーダンスが有限の値に収束する現象が生じ、 インピーダンスを自由に制御することができるようになります。」

(「トロイダルコア活用百科 山村著」p.145)

そうやったんか...

2.

MATH

このタイプの帰還は、電流を帰還 させています。(RFが帰還抵抗)

無帰還時の電圧増幅率を MATH

帰還時の 電圧増幅率を MATH

とすると

MATH MATH

つまり、電圧増幅率は、あんまし、変わらない。

同じように、

MATH を定義すると

MATH $\beta $

MATHMATH

と、電流増幅率が変化します。

入力インピーダンス

MATH $\beta $ $\times r_{e}$

MATH

入力インピーダンスが、下がるようです。

出力インピーダンス

MATH(ここは、私が付け足したので、保証なし)

MATH

(「増幅回路の考え方 改訂2版 砂沢 著」p.155

本、そのままの記述で、恐縮です。

シミュレーションの結果


fukikan1__30.gif

帰還抵抗の値を 1k、2k、10k、1T(無限大) に設定しました。

トランジェント解析

MATH

AC analysis

MATH

帰還量を増やすと、電圧ゲインが下がる(おかしいな...計算では、あまり変わらないはずなんですが..)

入、出力インピーダンスも、帰還によって変化するのですから、そうなのかもしれません。

ともかく、ゲインは下がるんですが、-6dB幅は拡がりますね。

ゲイン測定

MATH

これは、パワーのゲインです。(ノイズの測定の時に、ゲインの項目が出ます。)

真数です。

パワーのゲインの測定も、3種類あるそうですが、後ほど...

ノイズ測定

MATH

ノイズが随分減っています。(総和では、ありません)

H15.02.13

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